研究課題/領域番号 |
22K10599
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
的場 光太郎 北海道大学, 医学研究院, 教授 (00466450)
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研究分担者 |
神 繁樹 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (60531845)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 法昆虫中毒学 / 腐敗死体 / LC-MS / PESI-MS / 薬物検査 / 蛆 / ハエ |
研究開始時の研究の概要 |
死因解明のための検査において血液や尿などの体液は重要な検体であるが、死後経過時間が長くなるほど死体の腐敗とともに水分が失われ検体自体の採取が困難となる。本研究では欧米諸国で発展している法昆虫中毒学にならい、腐敗した死体に付着するハエの蛆や蛹などを簡単な前処理で分析が行える探針エレクトロスプレーイオン化法を備えた質量分析装置を用いて迅速に薬物を分析して、腐敗した死体に付着する蛆などの昆虫から検出可能な薬毒物の種別の同定や薬毒物濃度の解釈における新たな指標の確立をめざす。
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研究実績の概要 |
本研究の研究計画では、本年は法医解剖例の腐敗事例において死体に付着するハエなどの蛆、蛹、蛹の殻から薬毒物を抽出し、同事例における血液、尿、胸腔内貯留液等の採取可能である体液とともに高速液体クロマトグラフ質量分析装置(LC-MS)や探針エレクトロスプレーイオン化質量分析装置(PESI-MS)による薬毒物の定性・定量分析法の開発を行う予定であった。体液検体の分析前処理(薬毒物の抽出処理)は当教室で実施している分散型固相抽出法(dSPE)であるQuEChERS法を用いた。蛆、蛹、蛹の殻などの固体ではビーズクラッシャーを使用して溶媒中で破砕することで抽出を行い、続いて体液検体と同様のQuEChERS法を用いて前処理を行って通常のLC-MS(ESI-LC-MS/MS)による薬毒物分析を行った。以上の方法により体液中において高濃度の薬毒物が検出された事例で蛆や蛹からも同じ薬毒物が検出されることが確認された。一方、PESI-MSでの分析ではLC-MSの前処理を行った分析サンプル(液体)をそのまま用いて分析を行うことが可能であるが、さらに体液検体では抽出溶媒を添加するのみの簡易的な前処理で分析が可能であることを確認した。蛆などの固体検体は、理論的にはそのまま分析を行うことも可能と思われるが、薬毒物の抽出およびイオン化を促進するため溶液を加えることで飛躍的に感度が上がることが分かった。その溶液は薬毒物の極性に関わらず抽出・溶解できるように水とアルコールなどの水溶性の有機溶媒の混合溶液が望ましく、場合によっては、正イオン(陽イオン)で検出されやすい物質と負イオン(陰イオン)で検出されやすい物質で添加するイオン化促進物質の組成を変えるとさらに感度を高める可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LC-MSによる薬毒物分析では検体の前処理が重要である。装置本体の汚染を避けるため分析対象物質以外の夾雑物を極力減らすこと、また分析対象物質のイオン化を阻害し検出感度を低下させる塩などの物質を除去することが求められる。現在LC-MS分析の前処理で主流の一つであるQuEChERS法は法医学においても有用であることは示されている。本研究では蛆や蛹などの昆虫からの抽出・前処理はほとんど報告がなかったが、臓器などの組織を破砕してQuEChERS法を用いて前処理を行って分析した例があったことから、それを応用して前処理方法を開発できた。PESI-MS分析では、より簡便な前処理で分析が可能であることが示され、計画通りに進んでいるものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の予定としては動物の臓器を用いて模擬的な昆虫(蛆・蛹など)検体を作製し、臓器中の薬物濃度と昆虫で検出される薬物との関係を調査する。具体的には市販の食肉用ブタ肝臓を日本国内で処方数が多い向精神薬やベンゾジアゼピン系薬物など溶液に浸し、ハエの蛆に蚕食させる。臓器を浸す薬物溶液は濃度を数種類用意、また薬物を混合するなど様々な条件について検討を行う。
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