研究課題/領域番号 |
22K10604
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坂 幹樹 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 技術専門職員 (30447388)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 定量分析 / 内部標準物質 / 腐敗血液 / 定量的構造物性相関 / in silico / 数値モデル / 腐敗試料 / QSAR |
研究開始時の研究の概要 |
解剖から得られた試料は腐敗により様々な性状を呈していて、検量線作成に用いた試料との不一致から、内部標準物質(IS)の選択次第で定量値が大きく変わる可能性がある。そこで本研究では、ISの選択基準を示すための数値モデルを構築することに取り組むこととした。定量対象薬物およびISの様々な物理化学的性質を比較検討することにより、腐敗試料中薬物の定量精度に影響を及ぼす性質を抽出し、多変量解析により、その重要度を決定することを試みる。実験的手法に加えて理論的な解析を伴った本研究は、法医学のみならず他の分野においても、正確な定量結果を導くためのガイドラインになるものと考えている。
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研究実績の概要 |
前年度の継続で、フルニトラゼパムと7-アミノフルニトラゼパムの定量値が健常人血と腐敗血で変動するか、または、内部標準物質(IS)の選択によって変動するかを調べた。ISはフルニトラゼパム-D7、7-アミノフルニトラゼパム-D7、7-アミノニトラゼパム、7-アミノクロナゼパム、7-アミノニメタゼパム、ゾルピデム、フルマゼニル、フルラゼパム、ミダゾラム、メダゼパム、ブロマゼパム、ニトラゼパム、クロナゼパム、ニメタゼパム、エスタゾラム、ロラゼパム、アルプラゾラム、ロルメタゼパム、ジアゼパム、プラゼパムの20種類に拡張した。前回の実験結果より、液体クロマトグラフタンデム型質量分析計(LC-MS/MS)の測定において、特定の化合物に強いマトリックス効果が発生しており、この現象が大きい場合、ISの選択基準を方程式にするのが困難だと感じた。よって、抽出試料を10倍希釈してから測定した。結果は、最も腐敗の強い試料で最も定量精度が低く、フルニトラゼパムの定量に対しては、ISがクロナゼパム、フルラゼパムの時に、7-アミノフルニトラゼパムの定量に対しては、ISがジアゼパム、ニトラゼパム、クロナゼパムの時に低い精度を示した。さらに、定量的構造物性相関を用いて、重要と思われるパラメーター(descriptor)を選択し、IS選択の方程式を試みたが、決定的な結論には至っていない。現在のところ、重要なdescriptorとして、構造類似度、水素結合供与体の数、LogP、双極子モーメントなどを中心に考えているが、それぞれ単独で相関するものはなく、より精度の高いデータを集めて多変量解析をやり直す必要性を感じている。その原因としては、候補としたISの物性値が近すぎるということが考えられ、次の実験ではISをベンゾジアゼピン類にこだわらず、広い範囲で選択し、重要なdescriptorを明確にする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
試料によって、マトリックス効果はランダムに発生するので、方程式作成にこの要因を取り入れるのは難しい。また、当初、非常に少ない化合物の変動も考慮できるような方程式を目指したが、ISの物性の変動が少なすぎると、これも方程式に反映させるのが難しいと感じている。これらの理由により、研究にやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針としては、マトリックス効果を可能な限り排除するために、試料の希釈、分離カラム、グラジエント条件などを検討し、最善な条件を選択する。 IS候補化合物を広い物性範囲から選択する。ただし、定量対象がフルニトラゼパムと7-アミノフルニトラゼパムなので塩基性化合物から選ぶ。 これらによって、抽出効率(回収率)に重きを置いたISの選択基準が作成できると考えている。
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