研究課題/領域番号 |
22K10606
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
鵜沼 香奈 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授(キャリアアップ) (30586425)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | コカイン / 心臓突然死 / アディポネクチン / 収縮帯壊死 / 心毒性 / 一酸化炭素 / プロテオーム / 法医学 |
研究開始時の研究の概要 |
濫用薬物の 1 つとしてのコカインは若年者を中心に世界中で濫用例が急増しており、我が国でも特に 若年~中年層のコカイン使用による突然死の法医解剖を経験することが増え、看過できない重要な課題となっている。コカイン摂取による急性中毒としては 心血管系の合併症が主であるにも関わらず、その分子学的メカニズムついてはなお不明な点が多い。 本研究では、コカイン誘導性心毒性の分子学的な機序の解明と、生体内ガス状シグナル分子である CO 誘導による臓器保護効果について明らかにするための多角的な解析を目指している。このように検討された結果は、法医実務にでの診断、さらに臨床医学における予後予測や治療に役立つことが期待される。
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研究実績の概要 |
コカインは麻薬及び向精神薬取締法における麻薬であり、強力な依存性を持つ。近年、日本を含め世界的にコカイン乱用者数、製造量は共に増加しており、死亡者数も増加している。コカインの過剰摂取は、不整脈、心筋梗塞などの重篤な心血管障害を誘導し、重症例では心臓突然死を生起することがあることが分かっている。しかしながら、コカインの心毒性機序と突然死メカニズムの解明は十分されていない。 私は、昨年度までに、ラットにコカイン20 mg/kg/dayを14日間尾静脈から連日投与したコカイン濫用モデルラットにおいて、心臓を解析した結果、心臓における酸化ストレスの増加、左室心筋における広範囲の収縮帯壊死(Contraction Band Necrosis:CBN)、局所の心筋炎、心筋線維組織の増加などの所見が認められることを明らかにした。さらに、コカイン濫用モデルラットの心筋では、アポトーシスの増加、アディポネクチン濃度の上昇が観察された。 これらの知見はコカイン誘発性心毒性のメカニズム解明に寄与すると考えられる。次年度は、アディポネクチンがコカインの心毒性において保護的な役割を果たすか否かの検討と、そのメカニズムに関する詳細な検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた動物実験は完了し、解析も進んでおり、当初の計画以上に進んでいる。しかし、当初はコカイン誘発性心毒性の一酸化炭素の保護効果を検討する予定であったが、アディポネクチンに保護効果がある可能性が示唆されたため、まずはアディポネクチンの保護効果を検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、昨年度までの研究結果から、アディポネクチンがコカイン誘発性心毒性において保護的な役割を果たす可能性について詳細な検討を行う予定である。
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