研究課題/領域番号 |
22K10620
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
西尾 忠 帝京大学, 医学部, 准教授 (80401892)
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研究分担者 |
野上 誠 帝京大学, 医学部, 教授 (20218291)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 法医中毒学 / 中毒マーカー / 揮発性有毒物質 / LC-MS |
研究開始時の研究の概要 |
法医中毒分野において, 揮発性有毒物質の直接検出は, それらの環境中及び体内からの速やかな消失のため困難であることが多い. このため, 正確な中毒診断には信頼性の高い新規マーカーの開発が必要である. 本研究では, 揮発性有毒物質の中でも特に塩素及びシアンに焦点を当て, 体内吸収後に生じる特異的代謝物 (メインマーカー)の精密分析と, 物質曝露により大きく濃度変動をきたす代謝物 (補助マーカー) の探索同定を行い, 両マーカー併用による新規性及び実用性の高い中毒診断法を開発する.
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研究実績の概要 |
本年度は、揮発性有毒物質による中毒(塩素及びシアン中毒)の判定に有用なマーカー分子のLC-MS分析法の開発を行った. (1)塩素中毒マーカー; 塩素化チロシン(クロロチロシン及びジクロロチロシン)を標的分子に設定し,固相抽出法と誘導体化LC-MS/MSを組み合わせた分析法を開発した.実際に,塩素中毒で死亡した遺体から採取した各種試料(血液,尿,肺等)を用いて分析を行ったところ,これら2分子の検出及び定量が可能であった.さらに,他の死因の遺体から得られた検体を用いて比較した所,クロロチロシンは塩素中毒の検体において有意に高値を示した.さらに,ジクロロチロシンは塩素中毒の検体にのみ検出された.これらの結果から,塩素化チロシンが有用な塩素中毒マーカーになり得ることが示された. (2)シアン中毒マーカー; ATCA(2-アミノチアゾリン-4-カルボン酸)を標的分子に設定し,液-液抽出法と誘導体化LC-MS/MSを組み合わせた分析法を開発した.本法を用いて,性別及び年齢別におけるシアン曝露量を評価した.この結果,男性では壮年期にピークがあり,女性では中年以降プラトーとなることが示された.また,低年齢では男女ともATCA濃度は低値であった.さらに,焼死体から得られた血液中のATCAを測定し,一酸化炭素-ヘモグロビン飽和度とATCA濃度に正の相関があることを見出した.焼死の主要因は急性一酸化炭素中毒と考えられているが,本法を用いることでシアン中毒の死因への寄与度を評価できる可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メインターゲットとしていた大部分の分子のLC-MS/MS分析法を開発し,実試料分析にまで展開した.すなわち,中毒死の検体とその他の死因の検体を用いて,標的分子の定量及び濃度比較まで行った.
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今後の研究の推進方策 |
メインターゲットの一つであるATOEA(2-アミノチアゾリン-4-オキソアミノエタノール酸)の分析法の開発を行う.動物実験において,ATOEAはATCAと並んでシアン曝露の有力なマーカーと考えられているが,ヒト組織における検出例の報告はない.同時に,ATOEAの体内動態や体液中濃度等は一切不明である.このため,ヒト試料中における本分子の検出及び定量を達成し,有用なマーカーとなり得るか評価を行う.さらに,培養細胞を用いて中毒補助マーカー分子の探索を行うほか, 血液濾紙を用いた塩素及びシアン中毒の簡便な分析法の開発を試みる予定である.
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