研究課題/領域番号 |
22K10675
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58050:基礎看護学関連
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
原口 道子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 社会健康医学研究センター, 主席研究員 (00517138)
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研究分担者 |
笠原 康代 東京医療保健大学, 医療保健学部, 講師 (00610958)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 医療安全 / 在宅療養支援 |
研究開始時の研究の概要 |
医療安全の基本的概念は、「SafetyⅠ:失敗から学び失敗事例を減らす」から「SafetyⅡ:成功から学び成功事例を増やす」へのパラダイムシフトが提唱されている。本研究は、SafetyⅡ概念を在宅療養支援に応用し、1)病院と在宅におけるインシデント事例の収集・要因分析を行い、2)在宅の発生要因の特徴を明らかにし、3)在宅の特徴を踏まえた在宅療養リスク管理モデルとして構造化する。4)在宅療養リスク管理モデルにおけるSafetyⅡ概念に基づく成功例を収集し、5)実装に必要な訪問看護師のレジリエンス・エンジニアリング能力を明らかにする。以上により、在宅における医療安全体制の構築に寄与する。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、「SafetyⅡ概念を基盤とした在宅療養リスク管理モデルの構築」である。在宅の特徴を踏まえたリスク管理モデルを構築するとともに、SafetyⅡ概念に基づく訪問看護の成功例から訪問看護師のレジリエンス・エンジニアリング能力を明らかにする。インシデントは、「医療処置管理」の事象として「人工呼吸管理」、「療養上の世話」として「移動支援(転倒・転落)」、「医療的ケア」として「経管栄養」に関する(a) 病院、(b)在宅の事例を収集・検討した。 初年度は、(a)病院事例(厚労省医療事故情報収集等事業2021年度公開事例)は、人工呼吸管理:110件、転倒転落:51件、経管栄養:41件を抽出し分析対象とした。(b)在宅事例は、全国の訪問看護事業所対象の質問紙調査(回答:265件)の提供事例、人工呼吸管理:36件、転倒転落:98件、経管栄養:57件を分析した。 当該年度(2年目)は、初年度に収集した(a)病院、(b)在宅の事例についてP-mSHELLモデルに基づくリスク要因を比較し、在宅療養リスク管理モデルの構成要素を検討した。療養者要因(P)として、療養者の希望を尊重した方法や長期療養に伴う状態変化、生活習慣などがあった。環境要因(E)として、個別の生活空間、広い生活範囲(外出含む)、家族の生活空間などの物理的環境、日中独居、同居家族の生活様式など人的環境の要因があった。人的要因(L)として、家族の健康問題、担当看護師の代理・変更に伴う情報不足や療養者への遠慮などがあった。管理的要因(m)として、同一時間帯の複数業務や支援体制の要因があった。在宅療養リスク管理は、療養者および家族の生活様式・生活空間、慣習を想定する視点をもち、療養者の希望と安全の折り合いをつける視点が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、「医療機関と訪問看護事業所の看護連携による在宅療養支援リスク管理指標」を開発する。本研究は、1)病院と在宅におけるインシデント事例の収集・要因分析を行い、2)発生要因を比較して在宅の発生要因の特徴を明らかにし、3)在宅の特徴(リスク想定範囲の拡大など)を踏まえた在宅療養リスク管理モデルとして構造化する。さらに、モデルの実装のために、4)在宅療養リスク管理モデルにおけるSafetyⅡ概念に基づく成功例を収集し、5)実装に必要な訪問看護師のレジリエンス・エンジニアリング能力を明らかにする。以上により、法整備が確立していない在宅における医療安全体制の構築に寄与する。 当該年度(2年目)は、2)発生要因を比較して在宅の発生要因の特徴を明らかにし、3)在宅の特徴(リスク想定範囲の拡大など)を踏まえた在宅療養リスク管理モデルとして構造化する計画である。病院事例と在宅事例の要因分析を行ったのち、類似事象ごとの分類および比較検討を行いながら、リスク管理モデルを構成する要素を抽出している状況である。在宅療養リスク管理モデルの構造化の構想は進めているものの構造を精錬する段階には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の方向性は、引き続き、在宅におけるリスク管理の特徴についてエビデンスに基づき言語化、明確化するとともに、3年度目までには「在宅療養リスク管理モデル」として概念化・構造化する。モデル開発にあたっては、本テーマに精通した実践者、学識経験者等の討議により精練する。最終年度(2025年度)には、モデルの実装に向けて、在宅特有の視点をもったリスク管理を行うための訪問看護師の実践能力を明らかにする。訪問看護師の在宅療養支援リスク管理の実践能力をレジリエンスエンジニアリング能力として実態調査を行う予定である。
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