研究課題/領域番号 |
22K10707
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58050:基礎看護学関連
|
研究機関 | 三重県立看護大学 |
研究代表者 |
林 辰弥 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (00242959)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
キーワード | ハンドマッサージ / 血管内皮機能 / ストレス / 自律神経バランス / 足浴 / 湯温 / 血管拡張 / 看護ケア / ストレス軽減 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、足浴やアロマハンドマッサージの血管内皮機能に及ぼす影響、さらにはそれらの血管内皮機能の改善効果と自律神経バランスを指標としたストレス軽減効果や内皮細胞が産生する線溶調節因子の増減による血栓症予防効果との関連性を明らかにすることにより、これらの看護ケアの有するストレス軽減効果と血栓症予防効果を血管内皮機能を指標として同時かつ総合的に評価できることを証明しようとするもので、本研究成果により、様々な看護ケアの血栓症予防効果を血管内皮機能を指標として簡便に評価することが可能となり、血栓症予防看護ケアの開発研究の一層の活発化が期待できる。
|
研究実績の概要 |
本年度は、アロマオイルを用いたハンドマッサージの血栓症予防効果を明らかにする一環として、ウィルヒョウにより提唱されている「血流の障害」、「血管壁の障害」、「血液成分の変動」という血栓形成の3つの誘発因子のうち、ローズマリーを用いたハンドマッサージの血管壁に及ぼす影響を血管内皮が有する血管拡張能を指標として検討するとともに、ハンドマッサージの自律神経バランスを指標としたストレス軽減効果との関連性を検討した。健康な女性被験者を無作為に13名を20分間の安静群、12名を20分のキャリアオイルを用いたハンドマッサージ群、13名を20分間のローズマリーを用いたハンドマッサージ群に分類し、その前後で血管内皮が有する血管拡張能を%FMD値(最大血管拡張径一安静時血管径)/安静時血管径 x 100)として測定するとともに、自律神経バランスを測定した。その結果、安静前後、及びキャリアオイルあるいはローズマリーを用いたハンドマッサージ前後で%FMD値に有意な変化が認められず、ローズマリーを用いたハンドマッサージには血管内皮が有する血管拡張機能を指標とした血栓症予防効果は認められないこと、及び安静前後、及びキャリアオイルあるいはローズマリーを用いたハンドマッサージ前後で自律神経バランスの平均値に有意な差は認めらず、ローズマリーを用いたハンドマッサージにはストレス軽減効果が認められないことが明らかになった。以上の結果は、本実験条件下でローズマリーを用いたハンドマッサージに自律神経バランスを指標としたストレス軽減効果が認められなかったため、血管内皮が有する血管拡張能を指標とした血栓症予防効果が認められなかったことを示しているのかもしれない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、アロマオイルを用いたハンドマッサージの血栓症予防効果を明らかにする一環として、ウィルヒョウにより提唱されている「血流の障害」、「血管壁の障害」、「血液成分の変動」という血栓形成の3つの誘発因子のうち、ローズマリーを用いたハンドマッサージの血管壁に及ぼす影響を血管内皮が有する血管拡張能を指標として検討するとともに、ローズマリーを用いたハンドマッサージの自律神経バランスを指標としたストレス軽減効果との関連性を検討した。その結果、本実験条件下では、ローズマリーを用いたハンドマッサージは血管内皮が有する血管拡張能に影響しないこと、自律神経バランスを指標としたストレス軽減効果を有さないこと、及び本実験条件下では、ローズマリーを用いたハンドマッサージの血管内皮が有する血管拡張能を指標とした血栓症予防効果と、自律神経バランスを指標としたストレス軽減効果に関連性が認められないことを明らかにすることができ、概ね順調に進展していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで、足浴やハンドマッサージの血栓症予防効果を明らかにする一環として、ウィルヒョウにより提唱されている「血流の障害」、「血管壁の障害」、「血液成分の変動」という血栓形成の3つの誘発因子のうち、足浴やハンドマッサージの血管壁に及ぼす影響を血管内皮が有する血管拡張能を指標として検討するとともに、足浴やハンドマッサージの自律神経バランスを指標としたストレス軽減効果を検証し、両者の関連性を検討してきた。その結果、足浴、ハンドマッサージ共に自律神経バランスを指標としたストレス軽減効果が認められず、%FMD値(最大血管拡張径一安静時血管径)/安静時血管径 x 100)を指標とした血管内皮が有する血管拡張能にも影響しないことが明らかになり、足浴やハンドマッサージの自律神経バランスを指標としたストレス軽減効果と血管内皮が有する血管拡張能を指標とした血栓症予防効果の関連性を明確にすることができなかった。以上の結果では、足浴やハンドマッサージ自体が血管内皮機能に対する改善効果を有さないのか、これらにストレス軽減効果が認められないため、血管内皮機能に対する改善効果が認められないのかは明らかではない。そこで、次年度は、研究計画を少し変更し、自律神経バランスを指標としたストレス軽減効果と血管内皮が有する血管拡張能個々について、足浴やハンドマッサージの影響を検討することとする。
|