研究課題/領域番号 |
22K10774
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58050:基礎看護学関連
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研究機関 | 安田女子大学 |
研究代表者 |
山本 雅子 安田女子大学, 看護学部, 教授 (30325378)
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研究分担者 |
佐藤 陽子 広島大学, 病院(医), 主任看護師長 (10782584)
高瀬 美由紀 安田女子大学, 看護学部, 教授 (50437521)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 災害 / パンデミック / 看護管理 / 人材確保 / 人的資源管理 / 看護師の人的資源管理 / 非常時の人的資源管理 / モデル構築 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,自然災害や振興感染症の流行等により,医療現場に深刻な影響を及ぼしている。医療機関においては,非常時であっても平常時と同様の医療提供体制を維持することが求められる。そこで,本研究では,①非常時における看護職の人的資源管理の実際を明らかにし,②その結果に基づき非常時の看護職の人的資源管理のモデルを構築することを目的とする。目的①については,自然災害や振興感染症のパンデミックに対応した看護管理者と看護スタッフから質問紙調査を広く実施し,その後了承の得られた対象者にインタビューを実施する混合研究法を用いる。目的②については,①の結果に基づき,非常時の人的資源管理のモデル構築を試案する。
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研究実績の概要 |
本研究は,非常時における看護職の人的資源管理の実際を明らかにし,非常時の看護職の人的資源管理のモデルを構築することを目的としている。2023年度は,2022年度に実施した災害や感染症のパンデミック時の人的資源管理の方法について文献レビューした結果を第43回日本看護科学学会で報告した。 さらに,非常時の人的資源管理の実際と課題を明らかにすることを目的に,看護部長8名,看護師長10名,看護スタッフ13名に,半構造化面接を実施した。対応した災害は,自然災害(地震,津波,豪雨災害),COVID-19のパンデミックであった。その結果から,看護管理者は,被災急性期に減少する看護スタッフを確保するために,苦心しながら再組織化を図っていることが明らかになった。COVID-19のパンデミックは,フェーズごとに患者数が増減するために必要な看護力が増減する。また,看護スタッフ自身の感染や家族の感染により看護人員も増減する。それに対して,院内職員の配置の工夫,応援体制の整備や業務の省力化を図りながら,院内の人材を確保しつつ,その人材を支援しながら,組織を運営していた。また,他施設から応援スタッフを受け入れたり応援スタッフを他施設に派遣したりしていた。そのために,受け入れ体制の整備や受け入れスタッフおよび応援派遣スタッフの支援,さらにスタッフが欠けた看護単位の支援などを実施していた。看護スタッフは,看護管理者からの支援に動機づけられ,受けた支援に満足していた一方で,支援に不満を抱いている看護スタッフもいた。看護管理者と看護スタッフの認識の不一致はさらなる不満や離職に繋がる可能性がある。したがって,平常時の組織体制の整備や人間関係の調整が非常時に有効な人的資源管理に繋がることが示唆された。今後の課題として平常時の組織体制整備や非常時に得た経験知の継承および人材育成,地域とのネットワーク作りが挙げられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に実施した文献レビューを予定どおり関連学会で報告をした。しかし,科学研究費申請時の計画では,2023年度は,非常時の看護職の人的資源管理の実際について,全国に質問紙調査をする予定にしていたが,質問紙を作成するにあたり,まずは実際に非常時にどのような人的資源管理が実施されているのかについて,質的に調査を実施し質的帰納的に分析することにした。その結果をもとに質問紙を作成し,全国に広く実態を探索する計画に変更をしたために,実際に調査に取り組んだのは,年度の後半になった。したがって,2023年度中に調査したデータの分析を進め,次年度以降に研究結果を学会発表ならびに,論文へまとめる予定である。 2023年度は,看護管理者が実践している非常時の人的資源管理の実際と看護スタッフが認識している人的資源管理の実際を調査することができた。この結果から非常時の人的資源管理を有機的に成立させるには,平常時からの人的資源管理の重要性が示唆されたため,次年度以降の調査に活かしていきたいと考える。
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今後の研究の推進方策 |
3年目にあたる2024年度は,目的①の非常時における人的資源管理の実際を明らかにするために,2023年度に実施した調査結果をまとめて学会報告並びに論文作成をし,投稿する予定である。 それと並行して,2022年度に実施した文献レビューの結果に追加して2023年度に実施できなかった他医療職や他産業における非常時の人材マネジメントや人材確保について広く文献レビューを実施する予定である。さらに,文献レビューの結果や2023年度の調査結果に基づき,日本国内の看護管理者に対して,自然災害,あるいは振興感染症等のパンデミック等における人的資源管理上の困難とその対策,さらに非常時に対応するために平常時に実施している事項や非常時のために実施している地域ネットワーク作りの実態について調査項目を作成し,明らかにしていく予定である。また,人材確保の観点から,人材派遣会社における看護職の派遣に関する実態も調査し,そのことが非常時の人材確保に対してどれだけの影響を及ぼしているのかも検討していく予定である。 これらの調査結果を踏まえて,さらに目的②のモデル構築に向けてさらに分析を進め,2025年度の研究につなげていく予定である。
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