研究課題/領域番号 |
22K10838
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58060:臨床看護学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
桝屋 正浩 三重大学, 医学系研究科, 教授 (30281083)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 味覚異常 / 多発性骨髄腫 / ボルテゾミブ / レブラミド / 味覚障害 / 化学療法 |
研究開始時の研究の概要 |
化学療法を受けるがん患者の3-7割に味覚障害が見られるとの報告があるが、詳細な研究は少ない。これまでの味覚障害の研究は、対象患者や治療レジメンが雑多であることから、治療薬特有の味覚障害の状況がわからなかった。本研究では、プロテアソーム阻害薬を含む化学療法レジメンでの治療を受ける多発性骨髄腫患者を対象に、経時的に自覚的および客観的味覚検査とQOL検査を行い、(1)味覚障害を発症しやすい患者背景、(2)味覚障害の種類及び出現時期、(3)QOLへの影響を明らかにする。そして、味覚障害の発症しやすい患者に対し、どのような看護介入を行うと味覚異常発症の予防または軽減が可能なのかを検討する。
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研究実績の概要 |
プロテアソーム阻害薬(ボルテゾミブ)または免疫調節薬(レナリドミド)を含む化学療法レジメンで治療を受ける多発性骨髄腫患者(初発も再発も含める)を対象に、経時的に自覚的および客観的味覚検査とQOL検査を行い、(1)味覚異常の出現頻度、(2)味覚障害を発症しやすい患者背景、(3)味覚障害の種類、(4)味覚障害の出現時期、(5)QOLへの影響を明らかにすることを目的に研究を計画した。第一研究では、後ろ向き研究として、研究への参加の了解が得られた三重県内の3医療機関において2010年1月から2021年12月の12年間に化学療法(治療レジメンは規定しない)を受けた多発性骨髄腫患者を対象に電子カルテを検索して、それらの患者における味覚障害発症頻度を検討した。220名の対象者が抽出でき、そのデータを分析した結果、味覚障害発症頻度は約30%で、骨髄腫関連疾患に対する化学療法の基軸薬剤であるボルテゾミブやレナリドミドの添付文書や第Ⅱ相臨床試験結果(10-20%)よりも高率であった。使用薬剤の種類や併存疾患の種類、性別などは味覚障害の発症と関連は見られなかった。また、後方視的研究であるため、患者のQOLに関するデータの収集が困難であった。それを明らかにするために、第二研究として、前向きに多発性骨髄腫患者が化学療法の実施に伴い感じる味覚とQOLの変化を経時的に評価する研究も同時並行で実施している。第二研究は当初、三重県内で血液内科を有する関連医療機関4施設で研究を開始したが、研究参加者が少なく2023年 3月時点で3名の登録しか得られなかったことから、さらに1施設の責任者の了解を得て5施設で研究を遂行中である。それでも2024年3月現在、8名の登録しかない。この登録者は全員、研究を完了している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
後方視的研究は過去12年間の化学療法を受けた多発性骨髄腫のデータ収集並びに解析を終了できた。一方、前向き研究は進行が遅れている。当初、1年間で30 名程度の患者の登録を予定していたが、(1)初診の多発性骨髄腫患者が少ないこと、(2)新規薬を用いた治療の効果がよいことから治療法変更例が少ないことから、2024年3月末時点で8名の登録に終わった。
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今後の研究の推進方策 |
前向き研究の参加者のリクルートを定期的に関連施設にお願いする。後向き研究の結果より、当初予想したようなプロテアソーム阻害薬(ボルテゾミブ)または免疫調節薬(レナリドミド)を含む化学療法レジメンが特に味覚障害と関連があるとは言えないことが判明したことから、治療レジメンを限定せずに研究することを検討中である。第一研究で得られた結果を学会発表するとともに、学術誌への投稿を予定している。
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