研究課題/領域番号 |
22K10839
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58060:臨床看護学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉田 靖 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授 (30532519)
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研究分担者 |
池田 学 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60284395)
上野 高義 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60437316)
桝田 浩禎 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (80793918)
畑 真弘 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (80816223)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | せん妄 / 心臓血管外科 / 脳波 / 予測 / 検出 / リスクアセスメント / 術後せん妄 / 周術期管理 / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
せん妄は外科患者においては疾患予後にも影響する深刻な問題であり、ハイリスク患者を早期に予測し予防的介入をすべきとされている一方、未だ十分な精度を有する術後せん妄の予測ツールは存在しない。その中で、機械学習は複雑なデータからパターンを掴み予測を行うことに長けており、せん妄予測に有効な手法であると考えられる。またせん妄発症は脳の機能的結合性と関連する可能性があり、術前脳波からその特徴を抽出することで、せん妄の予測や発症機序への示唆が得られると見込まれる。本研究では、周術期データ及び術前に非侵襲的に得られる前頭部脳波のデータを用いて、せん妄発発症予測機械学習モデルを構築することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本年度中は、昨年度に収集したデータからせん妄発症を予測する機械学習モデルを構築し、学術雑誌2誌に投稿、掲載された。また、モデルの精度及び汎用性向上と、せん妄検出への応用を目的とし、追加のデータ収集を開始した。 データ収集は大阪大学医学部附属病院心臓血管外科にて行い、現時点でおよそ250名の同意を得ている。電子カルテと直接訪問によるデータ収集のほか、簡易脳波計"HARU-1"(PGV株式会社)にて脳波データを記録した。せん妄評価は術後7日間の追跡で、DSM-Vの診断基準に則り行った。 収集した術前データから心臓血管外科医師。精神科医師、看護師の知見に基づく特徴量選択を行い、Extra-trees, Randomforest等複数の機械学習アルゴリスムで予測モデルを構築した。最も優れるものでは感度;0.55、特異度;0.89、Area under the receiver operating characteristic curve;0.76と、従来報告されている統計学的手法に基づく予測モデルを凌ぐ精度を示した。この結果は、2023年11月にScientific reportsに掲載された(doi 10.1038/s41598-023-48418-5.)。英文校正と投稿費として、47万円を使用した。 また、HARU-1を用いて計測した脳波データを用いたせん妄予測に関しては、2023年11月にFrontiers in Psychiatryに掲載された(10.3389/fpsyt.2023.1287607)。せん妄を発症する患者の術前脳波は複数の周波数帯、特にガンマ帯において、せん妄非発症者とは異なる特徴を有することを示した。従来は術中脳波に着目した研究が多く報告されてきたなか、術前脳波にてせん妄発症への脆弱性を見極めることができるという、新規性のある結果を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りにデータ収集及び分析、論文投稿が進行していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きデータ収集を行い、構築した予測モデルの外的検証と、必要に応じて改良を行なっていく。 また脳波データについて、せん妄予測だけでなくせん妄検出への有用性を検証するため、データ収集と分析を行う。 得られた成果を論文投稿及び学会発表にて、積極的に発表していく。
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