研究実績の概要 |
本研究は,『養護教諭に求められる「医療的ケア児」に対応するための研修プログラム 開発』をテーマとした研究である.学術的論文がみられないなか,医療的ケア児が安全安心できる学びの場とするために健康管理を担う養護教諭の役割として,医療的ケア認定特定行為業務従事者となる教員や介護者支援を,養護教諭が行う活動に位置づけするための研修プログラムの開発を目的とした.2022年では,先行研究等を参考にし,養護教諭対象に「医療的ケア」の実態調査を管理各学校における管理者や養護教諭や認定特定行為業務従事者となる教員や介護者対象に実施した2023年度では,調査結果の回収後のデータ処理と解析を進めた.ただ,「医療的ケア児の対応」の調査については,対象として,特別支援学校及び一般校としたが,回収が進まず,困難を極めた.「科研の調査」と明記したにもかかわらず,回収の悪さについては,今後増加が予測されてはいるものの,「医療的ケア児」についての知識・認識がない,という結果であった.養護教諭職務内容については,医療的ケア児の「在籍する学校」「在籍していない学校」とも,管理職からは,「看護能力」は最も高く期待されていた.しかし, 医療的ケア児の対応では,言葉だけでなく,情報の伝達手段として用いられる「コミュニケーション」については,「期待されていない」結果となり,重要性が理解認識されていないことが明らかになった.このことから今後「医療的ケア」については,養護教諭のみならず,全教職員の研修が求められるとした調査結果をまとめた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度及び12023年度においては,新型コロナ感染症拡大の為学校教育体制に余裕が十分でなく,各,教育委員会や学校への理解と調整のために調査実施日程に遅れが生じていた.また,養護教諭への医療的ケア児対応に関する知識と実践状況をアンケート項目に取り入れたが,養護教諭の職務内容として,文部科学省の詳細な見解が示されていないことから、新たな質問項目の作成への研究に時間を要した.結局,医療的ケア看護職員や認定特定行為業務従事者となる教員や介護者対象に求められる知識実践を,養護教諭に求められる「知識・実践」の参考とし,調査を実施した.このことにより,調査の遅れが生じ,現在統計処理・結果の分析を行っているところである. 現在,「養護教諭の医療的ケア児の対応」についての管理職からの養護教諭への「期待」については,まとめ・結論を終えた。さらに現在,養護教諭の実践の実態と課題の有無について分析を行っているところである.
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