研究課題/領域番号 |
22K10994
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58070:生涯発達看護学関連
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研究機関 | 四日市看護医療大学 |
研究代表者 |
杉崎 一美 四日市看護医療大学, 看護医療学部, 教授 (70259381)
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研究分担者 |
藤井 夕香 四日市看護医療大学, 看護医療学部, 講師 (40830063)
後藤 由紀 四日市看護医療大学, 看護医療学部, 准教授 (20309983)
加藤 睦美 藤田医科大学, 保健衛生学部, 准教授 (40460646)
清水 智子 (森智子) 金城学院大学, 看護学部, 助教 (80828228)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 女性がん患者 / 就労の思い / 包括的就労支援 / 臨床看護師 / ナラティブ・アプローチ / SCAT / ナラティヴ・アプローチ |
研究開始時の研究の概要 |
女性の悪性腫瘍である乳がん・子宮がんにより、職業をもちながら家事、育児、高齢者介護を担う30歳~60歳代の多くの女性が罹患・離職し、経済的な損失だけでなく、自尊心や生活の質にも影響を与える。 本研究の目的は、女性がん経験者の就労・就労継続の思いに関する概念構築と看護師による包括的就労支援を明らかにすることである。ナラティヴ・アプローチの面接とSCATによる分析により、がん罹患後の就労に対する女性がん患者の思いが詳細に語られその本質に迫る。その結果、今までの就労マニュアルでは対応できない新たな知見を得ることができ、看護師への就労支援の動機づけと包括的な就労支援に寄与できる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、女性がん経験者の就労・就労継続の思いに関する概念構築と看護師による包括的就労支援を明らかにすることである。 A県内の患者会活動に参加していた対象者に研究協力を募り、自主的に研究参加する意思を示した女性がん経験者6名に、研究目的・意義・方法等について文書及び口頭で説明後、ナラティヴ・アプローチによる面接を60~110分実施した。ICレコーダーからそれぞれの事例に対し逐語録を作成した。その内1例目の逐語録をSCAT(Steps for Cording and Theorization)を用いて、研究者全員で長時間かけて丁寧に分析し、全406テクストから130の構成概念を創り出した。そして構成概念を紡いで経過にあわせてストーリー・ライン24項目と理論記述45項目を抽出した。本事例は乳がんの罹患により就労に関する価値観の変容が生じ、新たな生き方につながったケースであり貴重な語りが明らかになった。最後にまとめた理論記述の内、特に注目すべき記述は、自尊心、自己概念の揺さぶりが生じ、周囲の支えとレジリエンスにより乗り切る。罹患したことの価値は働く意味の再確認、新たな生き方の気づき、生命に対する畏敬の念といった罹患後の価値観の変換であり新たな世界観となる。容貌の変化に対する対処・支援として自尊感情を保持する製品の開発につながるであった。そしてがん罹患後の経過の中において、がんを敵視するのではなく状況をありのままに自然体で受け止めていた。その詳細については第43回日本看護科学学会学術集会に発表する予定である。また2例目の事例においてSCAT分析を行っている最中であるが、研究者全員が丁寧に忍耐強く繰り返し分析を行うため時間を要している。女性がん経験者の就労の背景、思いは千差万別であり、SCAT分析そのものが個別性や具体性の深い追及にもとづくため、今後も丁寧な分析を心がけていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究協力者6名を得て、ナラティブ・アプローチの面接は終了している。ICレコーダー逐語録の作成も完了した。1例目のSCAT分析は終了し、結果・考察を検討し令和5年度に看護系学会に発表、準備中である。 2例目のSCAT分析に取りかかっている。 SCAT分析は質的データを丁寧に紡いでいくため、一事例2時間20回を費やす分析となり分析に時間を要した。研究開始後一年経過し分析方法に統一性ができてきた。後4例の分析をする必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力者5名について、SCATによる分析を継続していく。データの分析の信頼性・妥当性を確保するため、研究協力者にメンバーチェッキングを受け信頼性の確保に努める。またSCATの開発者である大谷氏にスーパーバイズを受け、研究者の偏りにならないように妥当性の確保に努める。その個別結果を適宜、国内外の学会に発表していく。学会発表後、多方面から意見を伺い研究成果を洗練させた後、学術論文に投稿をする。 SCATの分析は個別性を重視するが、本研究では各事例の分析結果において共通性(一般性)と差異性(個別性)を追及する。各個別に分析した構成概念の中の注目するべき語句を抽出し、統合的にストーリー・ライン及び理論記述を行う。そして女性がん患者の就労支援について共通した深層・核心を含める概念構築を明確化していく。
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