研究課題/領域番号 |
22K11029
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58070:生涯発達看護学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
森 健治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (20274201)
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研究分担者 |
高橋 久美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (40771085)
森 慶子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 徳島大学専門研究員 (40837225)
橋本 浩子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (80403682)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ゲーム障害 / NIRS / 前頭葉機能 / NIRS / Trail Making Test / Stroop課題 / 知能検査 |
研究開始時の研究の概要 |
ゲーム障害児・者の脳機能障害について、近赤外線スペクトロスコピー:near-infrared spectroscopy(以下NIRSとする)を用いて解析し、ゲーム障害の診断、治療に用いることが出来る客観的な生物学的マーカーを明らかにすることである。NIRS課題としては、Stroop課題、Trail Making Test、ウィスコンシンカード分類試験、Iowaギャンブル課題などを用いる。ゲーム障害における脳機能障害部位を明らかにするとともに、患者さんに対して治療に対する動機付けを高める。さらに依存症から抜けだせた後に、NIRS検査を再度施行し、脳機能障害の改善が認められるかどうかも検討する。
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研究実績の概要 |
ゲーム障害児・者の脳機能障害について、近赤外光スペクトロスコピー(near-infrared spectroscopy:NIRS)を用いて解析し、ゲーム障害の診断、治療に用いることが出来る客観的な生物学的マーカーを明らかにすることである。これまでに本症における脳機能障害に関して、NIRSを用いて解析を行った研究や、画像研究の結果をゲーム障害の患者さんにフィードバックして治療に対する動機付けを高めるといった試みもなされていない。NIRSは簡便および非侵襲性の検査であり、小児でも繰り返し検査することが可能である(Kawai, Mori, et al.The Journal of Medical Investigation, 2021、Furukawa, Mori, et al. Open Journal of Psychiatry. 2017、森健治、脳と発達. 2014)。ゲーム障害に対する治療を行うとともに、NIRSを繰り返し検査することにより、治療効果(脳機能障害の改善)の客観的な評価も可能であると考えられる。 本年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、NIRS検査が進まなかったこともあり、学会、セミナー等により、ゲーム障害の現状把握および脳に及ぼす損傷等に関する情報の収集を行った。 今後は、ゲーム障害児にStroop課題、Trail Making Test、ウィスコンシンカード分類試験等を実施し、同時に試験実施中の脳活動をNIRSを用いて測定・分析を行い、定型発達児と比較する。NIRSのチャンネル毎に課題遂行中の酸素化および脱酸素化ヘモグロビン(Hb)平均波形(トレンドグラフ)の積分値を算出し、酸素化および脱酸素化Hb濃度の変化量を求める。ゲーム障害を有する被験者と正常コントロールの2群間で比較し、ゲーム障害による脳機能障害部位を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、学外者の学内への入構が禁止されたため、学内における外部協力者に対するNIRS検査を実施することができず、学会、セミナー等により、ゲーム障害の現状把握及び脳に及ぼす損傷等に関する情報の収集を行うにとどまった。インターネット・ゲーム障害の発症は、わが国だけで5百万人以上と推定されている。脳MRIを用いた研究では、ゲーム障害の患者において健常対照群に比べて、眼窩前頭葉、前部帯状回などで、神経ネットワークの統合性の低下が報告されている。眼窩前頭葉は、やってはいけない行動にブレーキを掛けたり、逆に報酬が得られる行動に意欲を出したり、善悪や価値判断をしたりすることに重要な役割を果たしている領域である。前部帯状回は、共感性、痛みや危険の認識、感情の調整、選択的注意などに重要な働きを行っている。これらの領域が壊れるということは、ゲーム障害の患者にみられる不注意および衝動的でキレやすい傾向や、現実の課題よりもゲームを優先してしまうことや、他のことには無気力で意欲が湧かない傾向と関係しているだろう。近赤外光スペクトロスコピー(near-infrared spectroscopy:NIRS)を用いたゲーム障害患者の脳機能評価は、未だ報告されていない。ゲーム障害患者の脳機能障害について、NIRSを用いて解析し、ゲーム障害の診断、治療に用いることが出来る客観的な生物学的マーカーを明らかにすることが喫緊の課題であると考えられるので、新型コロナウイルス感染症が5類に移行するのを受け、迅速に研究を遂行していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
被験者は徳島大学病院に通院中のゲーム障害を有する患者さんから参加を募る。診断は、ICD-11の診断基準を用いて行う。検査の方法、目的、意義、安全性などについて被験者および保護者に説明し、同意を得た後、心理検査、NIRS検査は被験者全員で施行する。NIRS検査では、比較検討するための正常コントロールが必要である。正常コントロールは、地域の小学生、中学生、高校生および大学生からボランティアを募集する。心理検査:ゲーム障害を有する患者さんに対して、Young、岡田尊司らが開発した依存度チェックリストを用い、ゲームへの依存度重症度を評価する。さらに、ゲーム障害を有する患者さんに対して、K-ABC、WISCなどの知能検査を行い、認知機能を評価する。NIRS課題としては、Stroop課題、Trail Making Test、ウィスコンシンカード分類試験、Iowaギャンブル課題などを用いる。NIRS検査においては、チャンネル毎に課題遂行中の酸素化および脱酸素化ヘモグロビン(Hb)平均波形(トレンドグラフ)の積分値を算出し、酸素化および脱酸素化Hb濃度の変化量を求める。ゲーム障害を有する被験者と正常コントロールの2群間で比較し、ゲーム障害による脳機能障害部位を明らかにする。NIRS検査の結果を画像を提示し、具体的に本人および家族に説明し、治療(減ゲーム)に対する動機付けを高める。さらに、外来で認知行動療法を施行し、カウンセリングの中で少しずつ認知の歪みを修正し、行動の変容につなげていく。NIRS検査は、半年ごと経時的に行う。ゲーム障害による脳機能障害は可逆性の可能性があり、NIRSにより治療効果を客観的に示すことが出来るのではないかと考える。
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