研究課題/領域番号 |
22K11085
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
福田 茉莉 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (70706663)
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研究分担者 |
神田 秀幸 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (80294370)
久松 隆史 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (60710449)
中畑 典子 島根県立大学, 看護栄養学部, 講師 (40299889)
絹田 皆子 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (20895297)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 高血圧 / コホート研究 / 地域保健 / 社会疫学 / 社会的処方 / 生活習慣病 / QOL |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、IoTを用いた年単位の家庭血圧管理事業が健康増進や疾病予防だけでなく、社会的処方として機能するかどうかを検討する課題である。家庭血圧管理事業の参加者への質問紙調査や支援スタッフを対象としたインタビュー調査、年間医療支出費の比較研究などを実施する。これらの研究成果は、社会的処方の枠組みが,高血圧症等の疾病予防や健康増進に基づく地域実践に援用可能であるかどうかを検討し,医療的・人材的資源の乏しい地域に対する有効な社会的処方の実現に寄与すると考えられる。
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研究実績の概要 |
本研究は壮年期を対象とした家庭血圧管理事業である益田研究(Masuda study)を調査フィールドとし,年単位の伴走的な血圧管理事業が参加者に与える心理的・社会的・医療経済的な影響を評価することである。本研究課題を遂行するために,①社会的孤立と血圧管理状況との関連,②伴走的支援の「場」で生じる現象と社団の役割との検討,③血圧管理状況(測定状況)を要因とした年間医療支出額の分析,④益田研究参加前後における参加者の主観的健康観の変容,に関する調査を実施する。 初年度である本年度は,調査フィールドにおける研究実施体制を構築した。さらに益田研究参加者を対象とした質問紙調査を実施した。質問紙調査は,家庭血圧値に関連する生活習慣だけでなく,参加者の生活環境や心理状況に関する質問項目が設定された。就労状況や家族構成,社会的孤立や主観的幸福感等を含む質問紙調査を実施した。今後具体的な分析を進め,随時,研究成果として報告していく予定である。 また,研究成果の報告として,申請者及び分担研究者の所属する各学会における積極的な研究成果報告を実施した。一例として,参加者の高血圧の認知率や管理率は,本事業が継続されるに従い,上昇していることがわかった。特に認知率と受診率は上昇傾向にあった。本事業における寄り添い形の支援が,疾病の重症化を予防し,早期の医療受診を促している結果の表れである。ただし,管理率は伸び悩む傾向にあった。 さらに,高血圧と社会的要因に関しては,就労状況が高血圧に関連していることがわかった。ただしこの傾向は性差が認められた。男女で就労環境に差があっただけでなく,雇用状態や職種によって高血圧者の割合が異なることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の調査フィールドである家庭血圧事業の実施体制とは既に研究体制が構築されており,研究を開始するためのフィールドエントリー等は円滑に実施することができた。また,初年度の研究計画の一つであった質問紙調査を実施することができた。本年度内にて,すべての質問項目に関する分析を実施することはできなかったが,データの一部を分析し,申請者および分担研究者の所属する関連学会での研究成果報告を実施できたため,「おおむね順調に進展している」と評価できる。 また,具体的な研究成果としては報告できていないが,分担研究者間での研究打ち合わせを積極的に行い,研究体制の再構築と医療費分析を実施するための研究手続きが具体的に議論された。研究実施のための研究倫理申請に関する議論や研究実施体制の構築,研究手続きの確認などを通して,分担研究者や関係者間で意見交換が実施できたことも研究課題を遂行する上で重要な点であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に実施した質問紙調査を本年度も継続して実施するのみならず,分析作業を引き続き継続して進める。さらに,次年度は調査フィールド内での参与観察およびインタビュー調査を開始する予定である。本調査のフィールドとなる社団法人および支援スタッフとは既に既知関係であるだけでなく,本調査についても事前に説明し,調査協力への承諾を得ている。 本研究課題の研究計画に沿って,質問紙調査の継続的な実施と解析作業だけでなく,支援の「場」でのスタッフと参加者とのコミュニケーションによって構築される支援者の役割に関する議論を行う。
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