研究課題/領域番号 |
22K11128
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 十文字学園女子大学 |
研究代表者 |
加藤 則子 十文字学園女子大学, 教育人文学部, 教授 (30150171)
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研究分担者 |
塩田 昇 福岡県立大学, 看護学部, 講師 (30573638)
蓋 若エン 長崎大学, グローバル連携機構, 教授 (30759220)
澤田 いずみ 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (50285011)
梶原 由紀子 福岡県立大学, 看護学部, 講師 (50512026)
江上 千代美 福岡県立大学, 看護学部, 教授 (50541778)
麻生 保子 和洋女子大学, 看護学部, 教授 (80509646)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ペアレンティングプログラム / 地域 / 実践 / ペアレンテ |
研究開始時の研究の概要 |
核家族化の進行やコミュニティーの弱体化を背景として現代の親が持つ育児困難感に対応するため科学的根拠に基づく親支援プログラムの提供が重要である。親支援プログラム受講により保護者の心理指標が改善するのみならず、地域のつながりが改善することを明らかにするためにその評価法を確立する。地域では既存の子育て支援サービスと親支援プログラムがそれぞれの良さを生かしながら提供されているが、それらを組み合わせて実施する場合の効果を客観的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究事業の研究期間の前半にあたる2年度目が終了する時期を迎え、これまでの研究結果に関する考察を深め、R6年度(3年度目)以降への指針とした。 地域とのつながり指標において、近隣との接触や地域とつながれる自信が大きいと、地域における子育て支援資源がよく認知され活用されていることが1年度目に分かったが、2年度目はこの知見を尺度化に生かし、つながり尺度をより有効性の高いものとするべく質問紙に手を加え、それを地域でのプログラム実施の前後評価アンケ―トの際に回答してもらって、データを蓄積し、妥当性と信頼性をさらに高めていくこととした。プログラムの効果として地域全体の子育て支援が向上していることを示す指標として、自治体が公表している不登校や非行、児童虐待件数をはじめとして、育児家庭のQOLや幸福度も考えられた。 1年度目に先進的な自治体での聞き取り調査を行った結果、費用面で限界が出たため、自治体のオリジナルプログラムを考案につながっている場合、プログラム実施が精力的であっても、人事異動とともに下火になる場合などが明らかになった。親に不安が強く、やみくもに複数のプログラムを希望して受講する場合なども分かった。2年度目はこれらの結果の分析を深めた結果、受講者とファシリテーターとの関係性がプログラムの効果に影響を及ぼすことが分かり、受講者及びファシリテーターの聞き取り調査の企画立案につなげた。 子育てに自信がつくと地域につながりやすくサービスを受けやすくなる一方で、もともとつながりの薄い人は、なかなかプログラム受講につながらず効果も薄い現状に対し、ポスターやSNSなどのPRが重要と考えられた。R6年度に市町村で親子関係支援形成事業が開始されることも視野に入れた研究の遂行が必要であることが確認された。日本の風土としての集団主義の生きづらさへの課題と、ポピュレーションを視野にする重要性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の開始に当たって研究フィールドの調整が計画されていたが、すでに研究グループのメンバーはフィールドを持っていたので、本研究計画の周知がフィールドにおける実際の活動となった。 つながり指標に関しては、良いつながりが育児支援の活用につながっている点に注目して、より有効な指標にブラッシュアップする方向性が示され、新たな質問紙がプログラム実施の前後アンケートにおいて使用され新たな質問紙の有効性が評価された。つながり指標を、地域全体の子育ての質の指標の一部ととらえてQOLや幸福度指標へと展開していく提案がなされ、当初の計画に加えた発展がみられた。 親支援プログラムを実施している先進的な自治体の実施担当者に実施状況についてヒアリングを行った。ヒアリングは2年度目以降の計画を先取りし1年度目に実施され、期待以上の成果が得られた。また、自治体ヒアリング結果の考察に基づいて、受講者ヒアリングやファシリテーターヒアリングが計画された点が、研究が発展的に展開した点である。 親支援プログラムには大別して二つのタイプがある。親子のポジティブな行動を引き出す行動変容型プログラム(トリプルPはこれに含まれる)と、似た年月齢の子どもをもつ親同士がつながれる手助けをする仲間づくり型プログラムである。研究計画の遂行のために、この二種のプログラムの両方を実施している研究フィールドを確保することが計画されたが、両方の資格を持っている研究グループメンバーが各フィールドで両方を実施するという方法で実施をしてきた。仲間づくり型プログラムのファシリテーターを新たに養成することが3年度目以降の課題となった。
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今後の研究の推進方策 |
2年度目の終了時点において、研究期間前半の成果をまとめるべく、多角的な視点からこれまでの調査結果についての考察を深めた。3年度目以降は、計画を練り直した部分と、当初の計画に従って進める部分とを、組み合わせて研究を進める。 2年度目に、本格的にモニターをエントリーし、親支援プログラムを実施し、つながり指標も含めて前後変化を評価した。プログラムの実施においては、感染予防対策等に配慮しリモートで行う場合もあった。前後評価においては、1年度目の研究成果を反映して改訂された地域とのつながり指標を用いてアンケートを行った。これにより、プログラム実施によって保護者が地域とつながる力を獲得することを示すための基礎データを深められた。3年度目以降も、データ取得を積み上げる。 3年度目以降は、複数のプログラムの実施効果をみるためにフィールドを広げ、評価の知見を積み上げる。モニターに、トリプルP(行動変容型プログラム)に加えて、仲間づくり型プログラムをリモート等も取り入れながら受けてもらい、受けた効果を経時的に把握する。仲間づくり型プログラムについては、2年度目までは、すでに資格を持っている研究グループメンバーによって実施され評価が行われたが、新たなファシリテーターを養成することで、実施を確実にしていく。 自治体担当者への聞き取り調査の成果は1年度目にある程度得られている。2年度目に聞き取り内容の分析を深めたところ、受講者とファシリテーターとの間の関係性が論点となり、ファシリテーターと受講者双方に対する聞き取り調査が企画立案された。3年度目以降に、聞き取りの内容を確定し、倫理承認後、モニターへのプログラムの提供をしつつ、ファシリテーターと受講者双方への聞き取りを進めていく。
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