研究課題/領域番号 |
22K11172
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
|
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
藤本 裕二 佐賀大学, 医学部, 助教 (30535753)
|
研究分担者 |
藤野 成美 佐賀大学, 医学部, 教授 (70289601)
古野 貴臣 佐賀大学, 医学部, 助教 (90775363)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | 精神障がい者 / リカバリー / 価値 / パーソナルリカバリー / 共同創造 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,精神保健医療福祉領域において,単に疾患からの回復ではなく,希望する人生の到達を目指すパーソナルリカバリーが重要視されている。 リカバリーは極めて主観的であり,パーソナルリカバリー促進に向けた支援には,精神障がい者の参画が不可欠である。当事者が感じているニーズと支援者の専門知識から考える支援内容には開きがあるものの,葛藤や矛盾の不一致が支援を発展させる鍵となり得る。当事者側の価値だけでなく,支援者側の経験や科学的視点からパーソナルリカバリーの支援を検討することで,当事者側と支援者側が大切にしていることを補完し合い,パーソナルリカバリー促進に向けた質の高いケアの担保に繋がると考える。
|
研究実績の概要 |
本年度(令和5年度)は,VBPの要素であるディセンサス(お互い同意できないことに合意する)の概念に基づき,精神疾患を抱える当事者と支援者それぞれの価値の相違を明らかにすることを目的にインタビュー調査を実施した。 まず,地域で生活する当事者6名に対してフォーカス・グループ・インタビューを実施した。性別は,男性5名,女性1名であった。調査では,これまでの治療や支援の中で支援者と価値や意見の違いを感じた場面について自由に語ってもらった。インタビューデータを質的帰納的に分析した結果,4つのカテゴリが生成された。次に,精神科医療や地域精神保健福祉医療領域に従事する熟練の支援者12名を対象に半構造化面接を実施した。職種は,医師1名,看護師6名,精神保健福祉士3名,作業療法士2名,性別は男性9名,女性3名であった。当事者のインタビュー調査から得られた内容を踏まえながら,これまでの治療や支援の中で当事者との価値の違いを感じた場面を想起してもらい,当事者と価値や意見の相違が生じた際に実践していること,重視していることについて自由に語ってもらった。インタビューデータは,当事者との価値観の違いを感じた際の支援を示す部分を抽出し,質的帰納的に分析した。その結果,【ディセンサスの表面化】,【選択肢の提示と自己決定】,【挑戦とサポートの保証】,【デブリーフィング】,【平等性】の5つのカテゴリに分類された。今後は,精神疾患を抱える人へのディセンサスアプローチを評価できる質問項目を検討する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,当事者と支援者それぞれのインタビュー調査から,両者の価値や意見の相違を感じた場面や,その支援内容に関する実態について明らかにすることができた。交付申請書に記載した研究計画の予定通りに調査を遂行することができており,現在までの進捗状況を「おおむね順調に進展している」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,インタビュー調査の結果に基づき,精神看護学と在宅看護学を専門とする研究者を交えたエキスパートパネルによるディスカッションを行い,ディセンサスアプローチ評価尺度の原案を検討する。さらに,プレテストを実施し,質問項目の協議と修正を慎重に繰り返しながら,全国の事業所を対象とした質問紙調査を実施する予定である。
|