研究課題/領域番号 |
22K11208
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
横井 輝夫 高知県立大学, 社会福祉学部, 教授 (00412247)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / ADL / 意識 / 言語 / 手がかり |
研究開始時の研究の概要 |
更衣、整容、排泄、入浴、食事、移乗などのBADL(Basic Activities of Daily Living)は、練習して獲得した動作が言葉を介さず動作に再生される手続き記憶である。手続き記憶は、アルツハイマー病者にも保持されているが、言葉をほとんど失った重度アルツハイマー病者は、BADLを遂行中、“形がなく存在を知覚できない概念を用いる動作”になると混乱する。そこで本研究では、“形がなく存在を知覚できない概念を用いる動作は介護者が介助する”ことで、重度アルツハイマー病者のBADLは混乱せず再生することを証明する。
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研究実績の概要 |
言葉をほとんど失った重度アルツハイマー病者が、表裏、前後、上下、左右を反対にしてブリーフやズボンを頭からかぶり、インナーシャツやTシャツを足からはく場面によく出会う。本研究は、それは“形がなく存在を知覚できない概念(言葉)を用いる動作”になると混乱するためであると推察し、動作が再生する構えを誘導し、形がなく存在を知覚できない概念(言葉)を用いる動作は介護者が介助すれば、重度アルツハイマー病者の日常生活動作(Activities of Daily Living: ADL)は遂行されることを証明することを目的とした。しかし、この実証研究は、新型コロナの影響で残念した。 アルツハイマー病は記憶障害を主症状とする病と思われているが、記憶障害だけではADLに決定的な支障は生じない。自覚、つまり認知機能が低下していることにたいする意識の低下が、アルツハイマー病のADL障害の根底にある。そこで、研究内容をADL障害が起こる機序を意識から探求することに切り替えた。2022年度は国際誌Gerontology and Geriatric Medicineにタイトル“Alzheimer’s disease is a disorder of consciousness“を発表した。2023年度は、ADL障害の原因と考えられている認知機能障害と意識、特に言語意識との関係について考察を深め、現在、“Language and Alzheimer’s Disease”と“Loss of identity in Alzheimer’s patients”の2編を国際誌に投稿している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に国際誌Gerontology and Geriatric Medicineに発表したタイトル“Alzheimer’s disease is a disorder of consciousness”では、アルツハイマー病が意識の病であること、ケアにおいては、目印などのreminders(手がかり)が有効であることについて述べた。2023年度は、ADL障害の原因と考えられている記憶、思考、判断、言語、見当識(時間・場所・人)、計算、注意、情動、視空間認知、自己や他者の心を推定する社会的認知、遂行機能などの認知機能の障害と意識、特に言語意識との関係について考察を深め、現在、“Language and Alzheimer’s Disease”と“Loss of identity in Alzheimer’s patients”の2編を国際誌に投稿している。さらに、ADL障害と深く関係し、介護負担の主な原因であるBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia(BPSD)についても言語意識との関連で考察を深め、論文投稿の準備をしている。順次、その成果を国際誌に発表していく。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、言語意識とADL障害とBPSDとの関係について考察を深めることに時間をかけた。2024年当初からその成果を国際誌に順次投稿しており、2024年度はさらに精力的に成果を国際誌に公表していく。
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