研究課題/領域番号 |
22K11209
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
小野 順子 福岡県立大学, 看護学部, 講師 (20432742)
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研究分担者 |
濱野 強 京都産業大学, 現代社会学部, 教授 (80410257)
尾形 由起子 福岡県立大学, 看護学部, 教授 (10382425)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 地域診断 / GIS / 意思決定 / PDCA / 地理情報システム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、地理情報システム(GIS)を活用した地域診断を実施し、地域診断結果に基づく活動のPlan(計画)・Do(実施)・Check(評価)・Action(改善)を自治体と共同して実践する。 地域診断は、自治体が保有する保健医療福祉データの提供を受け、集計、分析、GIS解析等を行い結果を可視化する。分析結果を自治体および地域住民と共有し優先的健康課題と課題解決に必要な取り組み検討し事業計画を策定する。事業実施後は評価計画に基づきGISを活用した地域診断に基づくPDCA実践についてその有用性の評価と一連のプロセスを進めるにあたっての阻害要因や解決策を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究の趣旨に賛同し研究の実施に同意が得られた自治体から、日常生活圏域ニーズ調査のデータおよび介護保険データの提供を受けた。また、自治体において高齢者の生活支援・介護予防に係る専門職(以下、自治体)とGISを活用したデータの可視化において、何を目的にどのようなデータを集計・分析するか、集計するエリアの規模などについての協議を行った。この結果を基にエリアごとのデータ集計・分析を行った。 データの集計作業後、主に要介護リスクの高い高齢者(後期高齢者、独居、認知機能低下、運動機能低下、うつ傾向、閉じこもり)の実態についてGISを活用して地図上に可視化を行った。その後、自治体と集計・分析結果の共有・協議を行い、要介護リスクの高い高齢者の分布や地域差を確認し、要介護状態の高齢者の分布と重なることが確認できた。また、集計結果に地域で実際に高齢者に関わる専門職が有する質的データを加味し、高齢者の健康課題について協議した。数年にわたり続いたコロナ禍の生活変化によって高齢者の孤立が進み健康状態も悪化していることが課題として挙げられ「社会的孤立」をキーワードとしたさらなる分析の要望が出された。また、高齢者を対象とした保健・福祉事業の事業種別によって実施地区と未実施地区の高齢者の健康状態に違いがあるかなど事業評価の側面での分析の要望も出された。 高齢者の健康状態の把握においてはコロナ前後での変化が大きい事が予測され、分析データの更新が必要なこと、また健康状態を反映する医療・介護に係るレセプトデータも必要であるとの認識を共有し、レセプトデータの提供を受けるための準備を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始年時に、自治体からの日常生活圏域ニーズ調査及び介護保険データの提供を受けることができておりスムーズに2022年度に予定していたGISを活用したデータの統合及び集計、可視化を実施することができた。また、これらの結果を生活支援・介護予防事業に関わる専門職種との共有の場を持つことができた。このことにより、データが示す実態に実際の地域の高齢者の姿や質的なデータを含めた課題の抽出ができたため、おおむね順調に進んでいると考える。 しかしながら、この専門職種との共有で優先的健康課題が絞られたことにより、追加のデータ取得や分析が必要であることが明らかになった。追加データはレセプト情報を含むため、今後、取得のための自治体との手続きに時間を要する事が予測される。
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今後の研究の推進方策 |
1.高齢者の健康状態にかかわる医療・介護保険レセプトのデータ取得:R4年度中に交渉を始めており、R5年度は、レセプトデータの取得ができるよう準備を進める。同時に介護予防の観点からレセプトデータの具体的な分析対象者、項目について自治体との協議を進める。 2。高齢者の社会的孤立に関する追加分析:コロナ禍における生活変化による高齢者の孤立については、日常生活圏域ニーズ調査における「会話の頻度」「近所付き合いの程度」「人との交流の頻度」「困ったときに頼れる人の存在」などの項目からエリアごとの実情を集計・分析し可視化する。さらにエリアごとの社会的孤立の実態と生活支援・介護予防等の保健福祉事業との関連性についても検討する。 3.本研究は自治体における政策の意思決定に資することを目的としており、今後も自治体との協議・分析結果の共有を行いながら研究を進める。
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