研究課題/領域番号 |
22K11211
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 名桜大学 |
研究代表者 |
本村 純 名桜大学, 健康科学部, 上級准教授 (50632999)
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研究分担者 |
奥野 恭史 京都大学, 医学研究科, 教授 (20283666)
花城 和彦 名桜大学, 健康科学部, 教授 (20284961)
池松 真也 沖縄工業高等専門学校, 生物資源工学科, 教授 (40442488)
神谷 義人 名桜大学, 健康科学部, 助教 (50812830)
砂川 昌範 名桜大学, 健康科学部, 教授 (70325835)
奥本 正 名桜大学, 健康科学部, 教授 (70330727)
立津 慶幸 名桜大学, 公私立大学の部局等, 上級准教授 (70833911)
玉田 嘉紀 弘前大学, 医学研究科, 教授 (80435495)
島 康貴 名桜大学, 国際学部, 准教授 (60838556)
内野 詠一郎 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (20820905)
中澤 麻衣 弘前大学, 医学研究科, 助教 (90971599)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 疫学調査 / 横断調査 / スクリーニング / 機械学習 / 予兆モデル / アルコール性肝疾患 / 非アルコール性脂肪性肝疾患 / ヘルスリテラシー / 行動変容 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「①AI・機械学習によるアルコール性肝疾患(ALD)・非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の予兆モデル開発」、及び「②同モデル介入による住民のヘルスリテラシー得点と行動変容への影響の評価」を行う。上記②で住民を対象とする介入試験の際、上記①のモデルを住民が日頃使えるようにするために、スマホアプリ開発を行う。本研究により、予兆モデル介入の社会実装を試行することで、沖縄県内の働き盛り世代の肝機能低下予防に関するヘルスリテラシー向上と行動変容支援、自治体の特定健診・特定保健指導、医療機関における ALD・NAFLD のスクリーニングへの活用が期待できる。
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研究実績の概要 |
2022年度は、「ビッグデータ解析による精度が高いALD/NAFLD予兆モデル(「Model A」)」の開発のための、疫学調査(横断調査)により収集したデータの解析を試みた。まず、先行研究で明らかにされている脂肪肝の要因となる、質問紙による生活習慣に関するデータ、生理学データ、生化学データ等用いた解析を行い、これらのデータのみでの、アウトカム指標である腹部エコーを予測するためのスクリーニングに関する英文原著論文を執筆し、投稿を行った(査読中)。当該論文は沖縄県民のデータの解析に基づく、非侵襲的スクリーニングスコアリングシステムの開発に関する論文である。したがって、遺伝子データおよび腸内細菌叢データ等を含む安価ではない多項目のデータを用いた、将来のアルコール性または非アルコール性脂肪肝の発症リスクを予兆するための 「Model A」 ではないが、 「Model A」 および「Model B」 開発につながる解析結果が得られたことより、一定の成果を得たと考える。当初計画していた、機械学習を行うことができるソフトウェアを用いた教師あり学習により、3種の「Model A」の試作を行うことができなかったため、2023年度に行うこととする。そのための課題として、遺伝子データおよび腸内細菌叢データの前処理が挙げられるが、2023年9月までに前処理を行い、同年10月以降に3種の「Model A」を試作し、各モデルで交差検証を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
京都大学大学院医学研究科において、予測モデル開発のための前処理及び解析に関するレクチャーを受け、解析の試行を実際に行い、ビッグデータ解析に必要な知識及び技術に関する概要を把握することができた。具体的には、まず、同大学が有する縦断研究データを用いた、ある疾患の予兆モデル(横断研究データを用いた、予測モデルではない)のプロセスに関する概要の説明を受けた。レクチャーにより、同大学で開発した予兆モデルを本学において効率的かつ正確に試行する際に、具体的な端末機器およびソフトウェアの種類および設定、留意すべき技術的な要点等を確認することができた。また、データの前処理について、コーディングのプロセスの記録を効率的に行い、トレースが可能になる方法を修得することができた。これにより、前処理に問題がある場合、あるいは修正がある場合は、プロセスの記録をトレースし、適切なプロセスに修正することが可能となる。しかしながら、課題として、遺伝子データおよび腸内細菌叢データの前処理が行うことができていないことによる、「Model A」 の開発が完了していない点が挙げられる。機械学習用のソフトウェアに投入するためのデータセットに、これらのデータが保存されている、ある形式のファイルより、目的とする疾患に関連する情報のみを抽出するノウハウを獲得することができていないことが当該課題の要因の一つである。したがって、このノウハウを獲得するためのミーティングを2023年8月に本学で開催し、京都大学の研究分担者の協力を得ながら、「Model A」 の開発完了を目指す予定である。よって、現在の進捗状況としては、やや遅れているが、今年度で課題をクリアすることができる見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、2018年度から2023年までの横断調査により収集したビッグデータを用いて、ALD/NAFLDの要因を独立変数とし、これらの疾患の有無またはハイリスク/ローリスクを従属変数とし、多変量解析、および機械学習を行うことができるソフトウェアを用いた教師あり学習による解析を行う。まず、2022年度で完了できなかった遺伝子データおよび腸内細菌叢データ等を含む安価ではない多項目のデータを用いた、「ビッグデータ解析による精度が高いALD/NAFLD予兆モデル(「Model A」)」の開発を継続して行う。また、「可能な限り安価なコストで収集できるデータのみを用いて、『Model A』に可能な限り近い精度の予兆モデル(「Model B」)」の開発を行う。「Model A」は「Model B」と比べ、関連する多くの項目を用いた解析に基づくモデルになることより、理論上、「Model A」は予兆モデルとして正解率、適合率(陽性反応的中度)、再現率(感度)、F値(トレードオフ関係にある再現率と適合率の調和平均)の評価項目が「Model B」と比べ高いことが予想される。しかし、「Model A」の複数のモデルはビッグデータを用いるため、コストが高く、将来的な社会実装を考えると、日本国内の全自治体、あるいは海外で活用することは現実的ではない。一方、もし低コストの「Model B」が高コストの「Model A」と比べ、正解率、適合率、再現率等の評価項目において同等の高い水準であれば、「Model B」はコストパフォーマンスが高く、社会実装ができる可能性が高いと評価することができる。よって、「Model A」に可能な限り近い精度の「Model B」開発に必要な、安価な項目を厳選し、特徴量として採用しALD/NAFLD予兆モデルのアルゴリズム開発を目指す。
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