研究課題/領域番号 |
22K11212
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大橋 和貴 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (20848527)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 訪問看護 / アクセシビリティ / 訪問看護師 / 地理情報 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、訪問看護の利用しやすさについて地域格差を解消し、将来の訪問看護の拡大および持続可能性を高めるために、訪問看護の供給量・需要量・訪問看護事業所と患者間の移動コストを考慮した指標を算出し、可視化および将来推計を行う。これは、地域別の訪問看護の利用しやすさと訪問看護事業所の潜在的な混雑度の指標となり、人材配置や育成、在宅医療の均てん化に向けた医療政策のための資料となる。これは、居住地に関わらず、必要なときに訪問看護を受け、本人が希望する場所で人生の最期まで暮らすことができる社会の構築に貢献することが期待される。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、北海道の39在宅医療圏を対象に訪問看護の人口カバー率および地理的アクセシビリティスコアを算出した。人口カバー率は、北海道全体の65歳以上人口に対する訪問看護ステーションから30分以内の範囲に居住する人口の割合で示した。地理的アクセシビリティスコアは、訪問看護事業所の住所、常勤換算看護師数、500mメッシュで分けられた人口の情報をもとに2段階浮遊集水域法(2SFCA法)を用いて算出した。訪問看護師の訪問範囲を訪問事業所から30分以内と110分以内の2つのシナリオにわけ、110分のシナリオでは距離が遠くなくなるほどアクセシビリティが減少するように減衰関数を組み込んだ。 結果は、人口カバー率は北海道全体98%以上であった。地理的アクセシビリティスコアは札幌市、旭川市、渡島東部、函館市、網走、日高、千歳在宅医療圏は両シナリオともにスコアが高く、上位25%に含まれた。訪問範囲を拡大すると、石狩や北空知、遠軽、江別、函館市でスコアが上昇した。このような地域は、主に都市部に隣接しており、近隣の在宅医療圏からの訪問看護を受けやすい地域といえる。一方で、南檜山、南十勝、東十勝、根室市は両シナリオとも低値であり、北海道内で相対的に訪問看護を利用しにくい地域であった。複数のシナリオを用いることで、近隣の在宅医療圏からの供給を加味しても人口に対する訪問看護の供給が少ない地域を特定した。今後は、地理的アクセシビリティスコアを応用し、在宅医療のアウトカム指標との関連を明らかにすることが課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、研究計画に沿って複数の手法により訪問看護の地理的アクセシビリティを評価し、北海道の在宅医療圏における相対的な地域差を示した。この結果は日本医療情報学会で報告した。一方で、当初予定していたレセプトデータを用いた妥当性の検証がデータの使用制限によって困難となったため、他のアウトカム指標を用いた分析を計画し進めている。
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今後の研究の推進方策 |
訪問看護の地理的アクセシビリティの現状を定量的に評価できたため、令和5年度はアウトカム指標を用いた妥当性の検証および小児看護や精神看護といった特定領域のアクセシビリティについても分析する。これらの結果を学会および学術雑誌に投稿し、研究結果の公表も進める。2025年から2040年にかけて生産年齢人口および老年人口を推移を考慮したアクセシビリティの評価を行い、本研究の目的である訪問看護のアクセシビリティの将来推計を行う。
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