研究課題/領域番号 |
22K11213
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
橋口 大輔 岩手医科大学, 歯学部, 助教 (00625965)
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研究分担者 |
黒瀬 雅之 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (40397162)
熊谷 美保 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (20398481)
三浦 幸枝 岩手医科大学, 看護学部, 教授 (50825510)
森川 和政 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (70514686)
佐藤 大祐 新潟大学, 研究推進機構, 助教 (70778703)
下山 佑 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (90453331)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 舌ブラシ / 舌ケア / オーラルケア / 人口知能 / 触圧センサ / 機械学習 / 深層学習 / 画像解析 / 触圧感覚 / リテラシー |
研究開始時の研究の概要 |
新型ウイルス感染症の拡大と符号するように「新しい生活様式」としての口腔ケアの充実が水際対策として注目されている。口腔ケアのうち、う蝕や歯周病予防を主眼としたケアは広く周知されてきたが、ウイルスが結合する受容体を最も多く有する舌に対する認識は高くない。そこで、歯科技能評価の特許技術を有する研究者を加え、触圧センサを埋め込んだ舌ブラシと機械学習用プラットフォームからなる実践的なシミュレータの開発を行い、細菌数や上皮残渣数を教師信号とした理想的な磨き方の可視化を行い、自身の舌ケアの可視化・評価を実現し、高齢者と看護の主役たる看護師や介護者を対象としたガイドブックの作成へと連携させる研究計画である。
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研究実績の概要 |
本研究は、在宅や通所施設にいる高齢者と在宅看護に携わるチームスタッフを対象に、正しい舌ケアを能動的・反復的そして楽しみながら習得できるシミュレータを目指し、①舌に加わる三次元方向の力の可視化、②理想的な舌ケアの解析、③舌ケアのガイドライン作成を目的とした研究計画である。これを実現するために、特許技術であるセンシングと人工知能を組み合わせた「多軸の圧力データを用いた機械学習による治療効果の推定」を核に据えている。この際の入力データとして、舌ブラシと舌間で生じる力、教師データは、舌ケア前後の舌粘膜上皮の細菌数、着色した汚れの除去率、上皮の残渣数とすることとした。現在までに、舌に加わる三次元方向の力の可視化することを目指した舌磨きを可視化するシステムの構築を実施している。その中で、摩擦力検出が可能な多軸触圧センサ、摩擦力に加え凹凸変位量検出が可能なMEMS触覚デバイスを採用している。ブラシ先端部に本センサを装着し、測定対象物体表面を垂直・前後・左右方向に移動させることで、センサと測定物体間で生じる①摩擦力(Nmm) ②凹凸変位量(μm)を、高いサンプリング周波数(500Hz)で測定・出力することが可能となった。 開発を行ったシステムを用いて、3Dプリンタによって作成した舌模型(2倍大)を対象に、その表面を垂直・前後・左右方向に移動させた際の出力は、表面形状が平坦ではないのも係わらず、①摩擦力(Nmm) ②凹凸変位量(μm)の両パラメータにおいて、舌ブラシを用いた際の舌と舌ブラシ間に発生する圧力の記録を実現している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、正しい舌ケアを習得できるシミュレータを目指し、舌ブラシを行っている際に舌に加わる三次元方向の力を可視化するシミュレータ開発を組み込んだ研究計画である。その核となるのが、舌ブラシから舌に加わる三次元方向の力を可視化(数値化)するセンサとなる。 本研究計画では、様々なセンサを試しながら、最適の条件となるセンサを模索してきた。当初の研究計画では、多軸方向の触圧センサを用いることにしていたが、検出力が十分ではないことから、摩擦力検出が可能な多軸触圧センサと摩擦力に加え凹凸変位量検出が可能なMEMS触覚デバイスを採用してきた。これにより、3Dプリンタによって作成した舌模型(2倍大)を対象とした検証では、舌ブラシの操作時に想定される垂直・前後・左右方向への動き時に、技能の差による明確な相違が記録された。しかしながら、口腔内での使用を念頭においた場合、防水化にまだ課題があり、ヒト口腔内での使用には至っていない。次年度は、防水化と安定した記録を実現するための改良を実施するため、研究計画はやや遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
多軸方向の触圧センサを舌ブラシのヘッドに設置し、舌ブラシと舌間で生じる圧力解析を行うことを計画していたが、十分な検出と安定した記録は実現しなかった。本年度は、この課題を改善するために、摩擦力検出が可能な多軸触圧センサと摩擦力に加え凹凸変位量検出が可能なMEMS触覚デバイスを採用することで、舌ブラシの垂直・前後・左右方向への動き時に、舌ブラシと舌間で生じる力の記録を実現し、歯科医師による模擬動作(しっかりとした舌磨きと、上手ではない舌磨き)時に、垂直・前後・左右方向の各方向の圧力値に明確な相違が記録された。確立したシステムを用いて、ヒトを対象とした実験に移行したいが、口腔内での使用を念頭においた場合、防水化にまだ課題がある。次年度は、センサを保護するカバーフィルムの設置を予定しているが、感度の低下が予想されるため、防水化と安定した記録を実現するための改良を実施する。防水化が実現した後に、ヒトを対象とした実験に移行するが、防水化が達成されない場合は、人工的な汚れを付与した舌模型を対象に、実験記録を行うこととする。
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