研究課題/領域番号 |
22K11217
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 東京有明医療大学 |
研究代表者 |
川上 嘉明 東京有明医療大学, 看護学部, 教授 (20582670)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 老衰死 / BMI / 栄養摂取量 / ロングターム・ケア / 予後予測 |
研究開始時の研究の概要 |
超高齢者人口の増加とともに「老衰」による死が増え,日本人の死因の第3位となっている。今後もさらに増えると予測されるが,いわゆる老衰死について明確な診断基準が存在しない。 そこで本研究の目的は,死に至る前から体格指数(Body Mass Index; BMI)や食事摂取量(kcal)は減少するという研究者のこれまでの研究をもとに,より多数の高齢者を対象として,老衰死に至る段階を分析することで老衰死の概念を明確にすることである。 これにより,治療の可能性があるにも関わらず老衰とされることが防がれ,また死が不可避であることの共通認識できればその高齢者に対して理想的なケアが提供できるものと考えられる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,老衰死に至る前の「数ヵ月から数年かけて変化する観察可能なパラメータ」を分析することにより,老衰死の概念や判断の基準,また死に至るまでの段階を客観的に明確にすることである。具体的には,ケアの臨床で日常的に入手されているBody Mass Index(kg/m2,以下BMI),栄養摂取量(kcal),また食事以外の水分摂取量(ml)の3つのパラメータを継続的に観察・分析することにより,老衰死の概念や判断基準に重要な示唆を提示することを企図している。 初年度において,老衰死と死亡診断された高齢者が多数発生している特別養護老人ホーム5施設を研究対象施設とし,約1900人の高齢者のデータを入手した。2年目にあたる当該年度は,データの信頼性を確保するため,それらのデータについてのクレンジングにかなりの時間を費やした。なぜならすべてのデータは電磁的に記録してある一方,各施設のそれらのデータ管理を担当する部門のちがいによってデータベースがわかれおり,名寄せが必要であったり入力された一部のデータが重複していたためである。 現在,データクレンジングが完了し,まず大きな傾向についての分析に着手している。その分析から見えてきたことは,以下の点である。まずBMIは死に至る数年前から死の時まで,非可逆的に減少する傾向がある。そして通常は栄養摂取量が減少することにより,体重とそれを身長で標準化したBMIが並行して減少すると考えるが,死に至った高齢者は栄養摂取量が減少しないにも関わらず,BMIが減少することが統計解析でも明らかになった。また死の数ヵ月前より栄養摂取量が,2-3ヵ月前より水分摂取量が各々非可逆的に減少し死に至った。 これら死に至った高齢者に見られたトラジェクトリーは,生存群のトラジェクトリーと統計解析により比較をすると有意差が検出され,老衰死に特徴的な経過であると示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は,BMI,栄養摂取量(kcal),また水分摂取量(ml/)の3つのパラメータのデータが電磁的に記録保存され,老衰死と死亡診断された高齢者が多数発生している特別養護老人ホーム5施設を研究対象施設として確保した。また生存し施設に入居中の高齢者を含め約1900人分の縦断的なデータの入手が完了した。 当該年度は,データのクレンジングにかなりの時間を費やした。なぜならすべてのデータは電磁的に記録してある一方,各施設のそれらのデータ管理を担当する部門のちがいによってデータベースがわかれおり,名寄せが必要であったり入力された一部のデータが重複していたためである。また欠落したデータや,担当者の交代によりデータの保存フォームが途中で変更している場合があり,担当者に問い合わせ確認することなどに予定外に時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
現在分析が可能となっている死亡群における各パラメータに特徴的なトラジェクトリー,各パラメータ関係,また生存群の高齢者と比較を行う。その上で,特に老衰死に至った高齢者の特徴を統計分析によって明らかにする。 具体的には以下のとおり,研究3年目には成果を公表する予定である。 ①現在,国内のジャーナルに投稿し,査読が進行している。②単著で高齢者の看取りに関する専門職向けの書籍を11月に発刊予定である。③並行し,海外ジャーナル数誌に投稿し研究結果を発表する予定である。 現在研究計画を変更する必要はなく,遂行する上で新たに生じている課題はない。
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