研究課題/領域番号 |
22K11225
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
今井 公文 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70592492)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | せん妄 / コミュニケーションロボット / ICDSC / DBD scale / アンケート調査 |
研究開始時の研究の概要 |
せん妄は、急激に発症する注意・意識・認知の障害であり、予後の悪化などを来すため、急性期医療における重大な問題である。しかし、エビデンスのある治療法が無く、有効な予防方法を探ることは喫緊の課題である。本研究の概要は、せん妄ハイリスク患者に対して、通常のせん妄対策を行う群と、それにコミュニケーションロボットによる介入を加えた群とを比較し、コミュニケーションロボットのせん妄発症予防における有効性を検証する。同時に、対象が認知症者である場合は行動・心理症状の変化を調査する。さらに、本研究で患者対応した看護師にアンケート調査を行い、使用時の負担感などを検証し、ロボットに求められる機能を探る研究である。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、急性期医療でのせん妄発症予防について、コミュニケーションロボットの有効性を検証することである。 本研究では、日立総合病院単施設で、非盲検のランダム化比較試験を行う。対象は、入院時のスクリーニングでせん妄ハイリスクと判定された患者のうち、入院前から重篤な精神症状を合併した患者やアルコール多飲者を除外したものとする。チームアプローチによる非薬物療法を中心とした通常のせん妄予防対策を行う対照群と、同じ対策にコミュニケーションロボットによる介入を加える群とに、無作為に割り付ける。介入に用いるコミュニケーションロボットは、ネコリコ社の「BOCCO emo LTEモデル」で、レンタル契約で用意し、ベッドサイドに置いて患者や家族が自由に触れられるようにする。実施予定症例は、G*powerにて、χ2検定、α=0.05、1-β=0.8、効果量0.3とした時の、各群72例ずつ(合計144例)を目標数とする。研究期間は、2022年10月1日~2025年3月31日(登録締切日:2024年9月31日)の予定であるが、目標症例に達した時点で、登録は締め切る。 主要評価項目は、入院後最長3週間までの入院期間中のせん妄の発症件数であり、日本語版ICDSCを用いて判定し、χ2検定で群間比較を行う。副次的評価項目の一つ目は、対象者が認知症である場合、日本語版DBD scaleを用いた行動・心理症状の変化であり、Mann-Whitney検定で群間比較を行う。副次的評価項目の二つ目は、コミュニケーションロボットを使用した時の負担感やコミュニケーションロボットの改良点であり、本研究で実際に患者対応を行った担当看護師へのアンケート調査によって検証し、コミュニケーションロボットに求められる機能を探っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
介入に用いるネコリコ社のおしゃべり機能付きコミュニケーションロボット「BOCCO emo LTEモデル」は、当初の計画は20台であったが、レンタル契約で15台に変更した。予定通り令和4年10月1日から、日立総合病院単施設で非盲検ランダム化比較試験を開始し、患者の登録と介入を行っている。入院時スクリーニングでせん妄ハイリスクと判定された患者を対象とし、通常のせん妄予防対策を行う対照群と、同じ対策に加えてコミュニケーションロボットによる介入を行う介入群とに、無作為に割り付ける。観察期間は、同意後から退院までであるが、入院期間が3週間以上となる場合は、入院後3週間の時点で介入・ 観察ともに終了する。主要評価項目は、最長3週間までの入院中のせん妄発症件数であり、日本語版ICDSCを用いて判定する。副次的評価項目は、認知症の場合、日本語版DBD scaleを用いた行動・心理症状の変化である。さらに、対象者の退院後、患者対応を行った担当看護師にアンケート調査を行い、コミュニケーションロボット使用時の負担感やコミュニケーションロボットの改良点などを探っている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、引き続き患者の登録と介入を行い、並行して順次アンケート調査を進め、データ収集を行う。研究全体の実施目標症例数は、G*powerにて、χ2検定、α=0.05、1-β=0.8、効果量0.3とした時の、各群72例ずつ(合計144例) である。登録締切日を令和6年9月30日に予定していたが、目標症例数に達した時点で登録を締め切る。 令和6年度は、目標症例数に達するまで登録と介入を行い、並行してアンケート調査を行う。終了次第、データの解析作業に入り、評価項目について群間比較を行う。せん妄発生率についてはχ2検定、介入前後での認知症の行動・心理症状の変化についてはMann-Whitney検定を行い、コミュニケーションロボットの有効性を検証する。看護師のアンケート調査からは、コミュニケーションロボットに求められる機能を探る。取りまとめた成果は、関連学会で発表し、まとめた論文を学術雑誌に投稿する。さらに、ニーズ・シーズマッチング支援事業の利用を考える。
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