研究課題/領域番号 |
22K11258
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
鰤岡 直人 鳥取大学, 医学部, 教授 (50252854)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 遠隔モニタリング / 在宅酸素療法 / 慢性呼吸不全 / 訪問看護 / 在宅医療 / パルスオキシメータ / 酸素濃縮器 / 自律神経機能 |
研究開始時の研究の概要 |
在宅酸素療法(home oxygen therapy: HOT)は,酸素吸入が必要な慢性呼吸不全患者さんが住み慣れた自宅などで療養を行える利点がある.一方,自宅での使用状況は患者さんの自己申告によるところが多く,外来診察や訪問看護などで確認・指導しても,適切な使用に関して十分に把握できないことがあった.自宅などにおける酸素濃縮器の使用状況や専用パルスオキシメータを用いた酸素飽和度の自己測定結果をインターネット経由で専用サーバーに保存して,医療スタッフが適時確認できる遠隔モニタリングシステムが臨床使用されている.HOTの遠隔モニタリングを利用して,より良い訪問看護システムを構築する.
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研究実績の概要 |
在宅酸素療法(home oxygen therapy: HOT)は,慢性呼吸不全患者の予後,QOLを改善する治療法である.新規医療技術として酸素供給装置としての酸素濃縮器にインターネット接続機能を実装し,患者さんの吸入酸素流量,使用時間帯,専用パルスオキシメータ使用時の酸素飽和度,脈拍数などを専用サーバーに自動保存する方法が確立された.結果を医師が手持ちコンピュータで確認して,指導や吸入酸素流量変更に役立てる遠隔モニタリングが臨床応用されている.本研究の目的は,HOTの遠隔モニタリングの改良と得られた結果を訪問看護に応用する方法を確立することである. 訪問看護に応用する点では,遠隔モニタリングの結果を利用できる施設において,HOT中の患者さんの酸素濃縮器使用時間と使用した吸入酸素流量の確認が容易に行われることを確認した.一方,遠隔モニタリングを実施していない施設において,情報を得る手段の課題も認めた.また,HOT中の患者さんが新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者になった場合も,遠隔モニタリング結果をもとに医師が適切に電話指導することができた.今後,新たな感染流行期においても,遠隔モニタリングシステムは有効な治療・監視手段になりうると考えられた.「遠隔モニタリングを用いた在宅酸素療法:訪問看護のためのマニュアル」を改訂して公開した. 遠隔モニタリングの改良として,モニタリングする指標を追加することを検討した.パルスオキシメータから測定された脈波変動から自律神経機能を調べるため,広く使用されているLF (low-frequency) 成分,HF (high-frequency) 成分,LF/HFについて心拍変動から得られた値と比較した.その結果,脈波変動から得られたLF成分は臨床的に使用可能と考えられ,英文論文で報告した.今後,新規指標を実装する意義などについて検討予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は,情報通信技術を用いた遠隔モニタリング対応の在宅酸素療法システムを使用することにより,主に以下の点を調査研究し,結果を得た. (1) 訪問看護時の指導効率向上のため,「遠隔モニタリングを用いた在宅酸素療法.訪問看護のためのマニュアル」を改訂した.また,医師向けの詳細なマニュアルも改訂した.これらのマニュアルは研究代表者の鰤岡研究室ホームページ,http://chronocyber.com/ で自由に利用できるように公開した. (2)モニタリングする新たな指標候補として,パルスオキシメータから測定された脈波変動から自律神経機能を表す指標のうち,LF (low-frequency) 成分が心電図から得られた値と,有意な相関関係およびBland-Altman解析で良好な一致度を確認した.結果を英文論文として報告した. (3) 新型コロナウイルス感染症のため,実際の活動が難しい局面があった.医療機関の連携も感染症対策のため困難な期間があった.
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今後の研究の推進方策 |
2018年度に在宅酸素療法の遠隔モニタリングが診療報酬で認められ,2022年度に診療報酬適用内容が一部改正になった.今後,訪問看護においても利用機会が増すと思われる.以下に,今後の研究推進方策を記載する. (1) 訪問看護師に問題点を指摘してもらい,「遠隔モニタリングを用いた在宅酸素療法.訪問看護のためのマニュアル」を再改訂予定である.医師向けの診療・操作マニュアルも再改訂予定である.作成したマニュアルは,研究代表者の鰤岡研究室ホームページ,http://chronocyber.com/ に公開する. (2) 遠隔モニタリング機能を利用して解析した結果,処方吸入酸素流量が不足していると考えられる症例を認めた.このような症例に対して,医学的介入を行い,患者サイドの健康関連QOLの向上を目指し,その手順を構造化・体系化してまとめていく.それらの成果を訪問看護に応用する. (3) 訪問看護師に意見を伺うと,訪問看護に協力してもらっている医療機関の認識がまだ不十分な部分もあり,どのように協力してもらえるのか検討が必要である.現場の意見を参考にして協力医療機関に対する説明文書の作成を引き続き行っていく. (4) 訪問看護に利用しやすいように,在宅酸素療法の遠隔モニタリングの機能改善を検討する. (5) 在宅酸素療法の遠隔モニタリングシステムを改良していく.
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