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アルツハイマー病による認知機能障害に対する習慣的運動とドーパミン受容体の役割

研究課題

研究課題/領域番号 22K11305
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分59010:リハビリテーション科学関連
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

落石 知世  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30356729)

研究分担者 清末 和之  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 特定技術担当主幹 (50356903)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
キーワードアルツハイマー病 / アミロイドβタンパク質 / オリゴマー / トランスジェニックマウス / 習慣的運動 / 行動解析 / シナプス / ドーパミン受容体
研究開始時の研究の概要

アルツハイマー病(AD)において、発症初期の認知機能の低下はアミロイドβタンパク質(Aβ)オリゴマーによって引き起こされるシナプス機能障害よることが示唆されている。また、低下した認知機能は習慣的な運動により改善することが知られている。これには障害を受けたシナプス伝達効率の改善が必須である。我々はこれまで、神経細胞内にAβオリゴマーを蓄積しAD発症初期の病態を示すモデルマウスの解析から、運動によってドーパミンD4受容体(DRD4)の発現が顕著に変動することを見いたした。本研究ではAβオリゴマーによるAD発症初期のシナプス障害に対してDRD4が運動を介してどのような効果をもたらすのかを解析する。

研究実績の概要

高齢者の認知機能が運動によって改善されることはよく知られているが、認知症患者においても同様の現象が認められており、習慣的な運動は認知症の新たな治療的介入の一環として注目を集めている。特にADの発症初期の軽度認知障害(MCI)の時期に運動を行うことは病気の進行を遅らせる、あるいは症状を改善させるために非常に有効である。ADにおけるシナプス機能の低下はアミロイドβタンパク質(Aβ)のオリゴマーによって引き起こされることが示唆されている。本研究ではAβにGFPを融合することによりAβオリゴマーのみを形成する、Aβ-GFP融合タンパク質を脳内に発現させたADモデルマウス(Aβ-GFPマウス)を使用した。このモデルマウスは、老人斑の形成・神経原繊維変化・脳萎縮は起こらないが、老化とともにタウのリン酸化が亢進し、海馬の長期増強(LTP)が抑制され、スパインの数が減少し、生後2か月齢で既に記憶障害を呈することから、MCIのモデルとしてAβオリゴマーに起因して起こる様々な神経活動の変化を捉えることが可能である。そこで細胞内Aβオリゴマーが引き起こす認知機能障害が習慣的な運動によってどのように変化するのかを、Aβ-GFPマウスに習慣的運動を負荷し、神経の伝達効率に関連するシナプス領域のタンパク質にターゲットを絞って解析する。本年度はこれまで本研究で得られた、Aβ-GFPマウスの海馬で運動によって発現が変化する遺伝子群の中からドーパミン受容体(DRD4)に注目し、その転写調節因子であるC/EBPαとAβオリゴマーとの相互作用について解析した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに得られていた結果から、Aβ-GFPマウスにおいて、回転かごによる運動群は非運動群と比較して、ドーパミンD4受容体(DRD4)の遺伝子の発現及び、DRD4タンパク質の発現が増加していることが明らかとなっていた。また、質量分析の結果、Aβ-GFPマウスの海馬において、AβオリゴマーはDRD4の転写調節因子と結合するC/EBPαと相互作用する可能性が明らかとなっていた。本年度は定量PCRを用いてHEK293T細胞でDRD4遺伝子のmRNAがAβオリゴマーによって減少すること、クロマチン免疫沈降法及(ChIP)び定量PCRを用いてC/EBPαがDRD4のプロモーター領域と結合すること、その結合をAβオリゴマーが促進することが明らかとなった。また、C/EBPαは核膜の内側に多く存在することを明らかにした。

今後の研究の推進方策

本年度結果から、AβオリゴマーはC/EBPαがDRD4のプロモーター領域と結合することを促進するがDRD4のmRNAを減少させるという矛盾した結果が得られた。一方、C/EBPαが核膜直下に多く存在することから、AβオリゴマーとC/EBPαの結合がドーパミン受容体のヘテロクロマチン化に関与し、mRNAの発現を低下させている可能性がある。これを検証するため、ChIPを用いてその解析を行う。また、実際に回転カゴによる運動負荷の結果、脳内でC/EBPαとAβオリゴマーの相互作用が起こることを証明する。さらに、その相互作用が運動によってどのように引き起こされるかを詳細に解析し、アルツハイマー病におけるドーパミン受容体の発現と運動負荷による認知機能改善の関連を明らかにする。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] Analysis of regulatory mechanisms of dopamine receptor expression involved in the improvement of cognitive function by voluntary exercise in a model mouse of mild cognitive impairment2023

    • 著者名/発表者名
      Junta Nakamura, Kazumi Hirano, Masami Kaku,Motomichi Doi, Tomoyo Ochiishi
    • 学会等名
      Neuro2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Molecular insights to the antistress function of Fucoxanthin, a major component of an edible seaweed (Wakame)2023

    • 著者名/発表者名
      Huayue Zhang, Motomichi Doi,Tomoyo Ochiishi, Sunil Kaul, Renu Wadawa
    • 学会等名
      International conference on health disparities
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 細胞種特異的なアクチン細胞骨格の違いを染め分ける新しい細胞の染色法とその応用2023

    • 著者名/発表者名
      長崎晃、貴嶋紗久、新海陽一、大塚幸雄、落石知世、佐々木保典、羽田沙緒里、平野和巳、加藤義雄、戸井基道、上田太郎
    • 学会等名
      第96回日本生化学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Cognitive impairment caused by intracellular amyloid β oligomers is ameliorated by voluntary exercise with a running wheel2022

    • 著者名/発表者名
      Tomoyo Ochiishi, Masami Kaku, Kazuyuki Kiyosue
    • 学会等名
      Neuro2022
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] A new mouse model of Alzheimer's disease to analyze the toxicity of amyloid β oligomers2022

    • 著者名/発表者名
      Tomoyo Ochiishi, Masami Kaku, Kazuyuki Kiyosue, Motomichi Doi, Hideki Shimura, Tatsuhiko Ebihara
    • 学会等名
      20th Biennial Conference of Association of Gerontology (India)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Mulberry fruit extract alleviates cognitive dysfunction caused by amyloid β oligomers2022

    • 著者名/発表者名
      落石知世, 角正美, Tanwarat Kajsongkram, Krittiya Thisayakorn
    • 学会等名
      第41回日本認知症学会学術集会/第37回日本老年精神医学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] アクチンペイント法:細胞形態の違いを染め分ける新しい細胞の染色法2022

    • 著者名/発表者名
      長崎晃、貴嶋紗久、加藤薫、新海陽一、大塚幸雄、落石知世、佐々木保典、羽田沙緒里、平野和巳、加藤義雄、戸井基道、上田太郎
    • 学会等名
      第45回 日本分子生物学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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