研究課題/領域番号 |
22K11310
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
星野 藍子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 講師 (10534406)
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研究分担者 |
天野 成昭 愛知淑徳大学, 人間情報学部, 教授 (90396119)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | うつ病 / 復職 / メンタルヘルス / レジリエンス / 復職支援 / リワーク / うつ / 多変量解析 / 休職 |
研究開始時の研究の概要 |
就労ストレスによるメンタルヘルスの悪化で休職する者が年々増加し、しかもその休職者が復職を果しても、約半数が5年以内に再度メンタルヘルスを悪化させ再休職や離職に至るという現状は、個人的にも社会的にも大きな損失となっている。この原因の一つに、復職後の就労ストレスに耐える能力(復職レジリエンス)が不十分であるにもかかわらず休職者を復職させている点がある。本研究では多変量解析手法を用いて、休職者の心身状態の多角的データから復職レジリエンスを予測するモデルの構築を目指す。このモデルを活用することで科学的・合理的な復職の可否判断が可能となり、再休職や離職を防止するという大きな社会的意義を持つ。
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研究実績の概要 |
本研究では復職レジリエンスモデルの構築を目指し、現在休職中で復職支援を受けているうつ病・双極性障害などのメンタルヘルス疾患の対象者の多面的なデータを収集している。2023年度は昨年に引き続きデータの収集を進めている段階である。これまでに約150名程度のデータを収集ができた。一方でそれらのデータの中には欠損データや復職後の転機について、不明な対象者もいるため、現在そのデータの照査を行っている段階である。 主として抑うつデータに収集に加え、当初の計画通り、活動量やカルテ記載内容などを含め包括的なデータ収集を行った。 2023年度は、予備解析として行ったいくつかの要素について検証結果を報告した。カルテ記載の自然言語処理解析により復職までの休職期間がどのような特徴を持つのかについて解析し、論文を発表することができた。また、患者のインタビューデータをもとに抑うつ度に応じた活動度を検討し、報告した。 さらにこれらの研究と並行して、企業でのメンタルヘルス予防の観点から研究を進めている。ストレスチェックを利用した抑うつの予測や、腸内細菌に関連する調査、孤立孤独に関するアンケートを実施した。これらに関して、本研究のデータとも関連を検討したうえで、学会等での発表を行った。これはファイザーヘルスリサーチ振興財団およびJST地の開拓者育成事業の支援も受けて実施しているものであり、これらの成果物は本レジリエンスモデルにも活かされる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進んでいるものの、データの照査が不足する部分があり現在追加でその作業を行っているため、少し進捗に遅れがある。 具体的には、主要アウトカムの一つである再休職に関する情報の獲得である。研究対象者の復職後の職務形態は非常に多様であり、軽減勤務、在宅勤務など様々な形態がある。さらに医療機関の診療を終了しているケースもあり、そういった場合に復職後の状況を把握することは困難である。また再休職している場合においても、従来の医療機関とは異なる医療機関を利用している場合もあり、そういった場合にはさらに調査が困難となる。現在は同意をいただいている対象者に関して、再休職や現在の勤務形態が不明な場合において、企業や本人へのアクセスによってこれらの情報取得が可能かどうかを検討している。現在倫理委員会の承認を得るべき内容かどうかを含め、十分に検討している段階である。なお、それ以外の情報については多くの場合、データを収集することができているため、それらの点については問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は最終年であり、総まとめの段階になる。以下を方針とする。 ①復職レジリエンスモデルの構築を目指した解析:これまでのデータをもとに復職レジリエンスモデルの構築を行っていく。具体的にはデータの解析が中心となる予定である。 これまでに得らえたデータの欠損やそれを補う統計手法を含めたうえで、解析を実施していく。また不足するデータに関して、追加で周到する方法がないか臨床の現場を含め十分に検討し、当初目的達成のために検討を重ねていく予定である。 ②研究成果の発信:結果を迅速に論文化、国際的な場において報告する。 具体的には11月に開催される国際シンポジウムでの発表を予定している。また本研究のモデルに関する論文を産業保健、作業療法、メンタルヘルス領域の国際誌に報告予定である。 ③実装とさらなる研究への発展の検討:これまで我々が構築してきたリワーク施設や企業との関係を活かして、この結果を実装する手立てを検討していく予定である。この検討にはこれまで行ってきた他の研究成果も利用していく。さらにそれらのための資金確保としての研究費の獲得も行っていく予定である。
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