研究課題/領域番号 |
22K11321
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 東京家政大学 |
研究代表者 |
齊藤 展士 東京家政大学, 健康科学部, 教授 (60301917)
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研究分担者 |
笠原 敏史 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (10312422)
平田 恵介 東京家政大学, 健康科学部, 講師 (50862603)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 姿勢制御 / 筋電図 / 高齢者 / 姿勢学習 / 筋活動 / 運動制御 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者の転倒の主な原因の一つとされているつまずきと滑りから転倒を防ぐには,若年者で観察される足関節運動優位の姿勢応答が求められる.しかしながら,この応答を高齢者で効果的に改善する方法は明らかにされていない. これまでになく簡便な姿勢学習トレーニングを高齢者に経験させることで,加齢により股関節運動が優位になった姿勢応答を足関節運動優位の応答へとシフトさせる新たな試みに挑戦する.左右の下肢に別々の外乱刺激を与え続けることで,つまずきと滑りに似た動揺に対する足関節応答を引き出す.姿勢戦略の改善を促す最適な刺激条件を見つけることで高齢者の転倒リスク回避に貢献する.
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研究実績の概要 |
我が国の高齢者の割合は27.3%と過去最高を記録し,急速に高齢化が進んでいる.加齢は身体機能や認知機能の低下を引き起こし,転倒・骨折・寝たきりを助長する.そのため,高齢者の転倒を効果的に予防することは極めて重要な課題である.我々は転倒予防の観点から,バランス能力の改善を目的に外乱刺激への姿勢応答の変化を調べた.また,外乱刺激を使用したバランス能力の改善のためのトレーニング方法を考案する. 数名の健常若年者を対象として,足趾が予測的姿勢制御に関与する可能性について調べた.この実験の意義として,外乱刺激が発生する前に生体内で起こる予測的な姿勢制御がバランス保持能力に大きく関与していることが知られており,足趾がどのくらい予測的姿勢制御の発生に関与しているかが解明できれば,転倒予防に対する足趾筋の重要性を知ることが可能である.また,足趾筋のトレーニングによりバランス能力向上が期待できるかといった示唆も得られる. 健常若年者は立位で両肩関節90°屈曲位から錘を落とす課題を行った.三次元動作解析装置を用いて身体動揺を測定した.予測的な足圧中心移動を床反力計により測定した.また,予測的な筋活動をワイヤレス筋電計により測定した.足趾課題は足趾を床につかせる,浮かせるなどの4 条件で行った.足趾の条件により,腓腹筋と大腿二頭筋の筋活動抑制の減少が認められた.また,足趾が浮いていると足圧中心後方移動開始時間は延長した.これらの結果は,足趾は予測的姿勢制御に関与する可能性があることを示唆する.また,足趾トレーニングをすれば予測的な姿勢の制御が改善し,バランス機能向上を見込め,転倒予防に繋がるかもしれない. 筋の振動刺激により筋緊張を変化させることが可能であるので,今後,筋の振動刺激による予測的姿勢制御への影響も加えて調べ,加齢により低下するバランス能力向上に寄与することを目指したい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本助成金の交付が決定した2022年4月から約1年間は新型コロナウイルス感染症拡大の影響があり,研究推進のための被験者確保と予備的実験が進められず本研究の進捗は申請時の予定よりやや遅れている.また,所属機関における実験室の移動も重なった.しかしながら,すべての研究機材等は再配置され,本研究を適切に進められる研究環境を整えた.本年度は,重量による外乱を身体に与えた場合のバランスへの影響などを調べ,バランス能力の改善のためのトレーニング方法の示唆を得た.
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響による人的環境と研究環境の変化が生じたが,可能な限り申請時の研究目的・計画に沿って研究を推進させるため,今後,高齢者のバランス能力改善に向けた取り組みを適切に行う.そのため,筋紡錘を刺激して筋緊張をコントロールできる振動刺激装置と床面動揺外乱刺激を同時に与え,バランス能力改善のためのトレーニングに応用可能な刺激条件を模索する予定である.
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