研究課題/領域番号 |
22K11330
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
上野 浩司 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (60725068)
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研究分担者 |
高橋 優 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40551049)
石原 武士 川崎医科大学, 医学部, 教授 (60335594)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 細胞外マトリックス / 可塑性 / マウス / 中枢神経系 / 行動実験 / 臨界期 / 抑制性ニューロン / 神経可塑性 / 行動解析 / 発達障害 |
研究開始時の研究の概要 |
弱視や聴覚障害といった神経発達障害,統合失調症などの精神神経疾患の根本的な治療には神経可塑性の回復(脳内の神経回路の再編成)が必要である。しかし,現在のところ神経可塑性を回復させる治療方法は確立されていない。そのため,神経発達障害や精神神経疾患の根本的な治療薬開発は必要不可欠である。本研究ではこれまでの研究成果を応用させ,既存の中枢神経作用薬の中から神経可塑性を回復させる効果のあるものを明らかにする。これにより,安全性が担保された中枢神経作用薬の中から神経可塑性の回復が認められるものを明らかにし,神経発達障害や精神神経疾患の新たな治療薬の確立に繋げる。
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研究実績の概要 |
細胞外マトリックス分子(ECM)は神経可塑性を制御する と考えられているが,その詳細はほとんど調べられていない。現在まで,神経可塑性を制御するものとして主に神経伝達物質やその受容体,シナプスやスパインが集中的に調べられてきたが,神経可塑性を制御する方法などは見つかっていない。中枢神経系における細胞外マトリックス分子は,ヒアルロン酸,コンドロイチン硫酸プロテオグリカン,リンクプロテイン,糖タンパク質などから構成されている。中枢神経系における細胞外マトリックス分子は発達期において神経細胞の分化や移動の誘導,酸化ストレスから神経細胞を保護する機能をもつことが示されている。特に、中枢神経系(CNS)の神経細胞体と近位樹状突起を取り囲む特殊な ECM 構造である神経周囲ネット(PNN)は、神経の可塑性を制御する。PNNにおけるどの分子がその機能をもつかは明らかではない。我々は老化促進モデルマウス(SAM)のSAMP10系統のPNN上のCat-315陽性分子の発現が減少していることを発見した。Cat-315陽性分子が脳の可塑性に関連していることが推測された。Cat-315陽性分子の発現を変化させる化合物の発見が神経可塑性制御に繋がると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中枢神経系における細胞外マトリックス分子の発現は多数ある。その中で神経の可塑性を制御する分子の研究に予想より時間がかかった。さらに,マウスの飼育スペースの確保に時間を要した。しかし,次年度は当初の計画通りに実験を進められる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
中枢神経作用薬による神経可塑性増加によるマウス行動の解析を主に進めていく。中枢神経作用薬のうち神経可塑性を高める可能性のある薬,そのような報告のある薬である「フィンゴリモド,ドネペジル,アビシジン等」を成熟個体である10ヶ月齢のマウス(C57BL/6)に28日間腹腔内投与を行う。28日後,生理食塩水を投与したコントロールマウスと比較して神経可塑性,行動柔軟性の変化を調べる。行うマウス行動実験は新規オブジェクト探索試験,バーンズ迷路試験,Y迷路試験,社会性試験,パッシブアボイダンス試験等である。行動実験終了後,無作為に各グループから10匹選び麻酔処置後に脳を即時取り出し,前頭連合野,正中・頭頂領域,体性感覚野,運動野,海馬を切り出してタンパク質を抽出する。ウェスタンブロッティングとELISA法を使用して各種細胞外マトリックス分子の発現量を解析する。
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