研究課題/領域番号 |
22K11361
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 株式会社国際電気通信基礎技術研究所 |
研究代表者 |
錦戸 信和 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 経営企画・イノベーション協創部, 研究員 (60610409)
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研究分担者 |
丹喜 信義 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 経営企画・イノベーション協創部, 研究員 (60441573)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 吃音 / MRS / 大脳基底核 / 運動ループ / 評価用ファントム / バイオマーカー / 脳の運動ループ / 興奮と抑制 |
研究開始時の研究の概要 |
発話の流暢性が損なわれる障害である吃音に対して,症状の程度や発話訓練の効果を客観的に判断するための定量的指標(バイオマーカー)が望まれている.このため, 磁気共鳴スペクトロスコピー法(MRS)を用いて,発話運動の制御に関与する脳の運動ループ内の領域に含まれる代謝物を計測する.この結果から発話運動の制御に関与する脳領域内の興奮と抑制のバランスの程度と吃症状との関係を明らかにし,興奮と抑制のバランスの程度が吃音のバイオマーカーとなる可能性を検証する.
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研究実績の概要 |
2022年度に続き磁気共鳴スペクトロスコピー法(MRS)撮像の対象とする脳の運動ループに含まれる領域の調査・検討を行った。その結果、Picture naming taskを用いたfMRI実験(Lu, 2010)において、補足運動野(SMA)および大脳基底核に含まれる被殻(PTM)は、吃音の有無により活動が異なる結果が示されている。また、安静状態のfMRI実験により吃音のある成人および小児においてSMAとPTMの機能的結合性の低下が報告されている(Yang, 2016, Chang, 2016)。よって、本研究ではSMAとPTMをMRSの撮像対象領域とし、当初予定していたPicture naming taskによるfMRI実験は行わず、MRS撮像を検討するための準備を行った。 まず脳の深部にあるPTMの形態を強調する脳形態のMRI撮像プロトコルを調査・検討した。これにより、検討したMRI撮像プロトコルにより事前に撮像する脳形態に基づくことで、より正確にMRS撮像領域の設定が可能となる。また、MRS撮像により得られるデータの高度な解析を可能とするLC modelの導入および解析環境の構築を行った。 MRS撮像の検討に使用する評価用ファントムに関しては、2022年度の調査結果を踏まえ試作品を作成した。まず3TESLA MR装置(MAGNETOM Prisma fit、Siemens製)により実際にヒトの脳形態のMRI撮像を行い、得られたMR画像から大脳基底核周辺の領域を抽出し、3次元モデルを作成した。この3次元モデルを3Dプリンターで印刷するためにファントム内に溶液を正しく注入、保持できる形状を保てるように修正し、3Dプリンター(S3DP555、S.lab製)によりファントムを造形した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画を変更したことにより昨年度の遅れを取り戻したが、MRS撮像の検討準備に想定より時間が必要となっているため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で着目している脳内代謝物(グルタミン酸(Glu)とガンマアミノ酸(GABA))を含めた溶液を試作した評価用ファントムに封入し、さらにヒトの生体に近い状態を再現しMRS撮像を行い、評価用ファントムの実用性について検討する。検討の結果、問題がなければ試作した評価用ファントムを用いて、MRS撮像の方法およびパラメータの検討を行う。 さらに、検討した脳の運動ループに含まれる2か所の領域のMRS撮像を吃音のある被験者と無い被験者に対して行い、得られたデータから各領域の脳内代謝物の割合を求め、脳内代謝物の割合と吃音の関係性について検討する。 最終的に本研究で得られた研究成果の対外発表を行う。
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