研究課題/領域番号 |
22K11365
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
能勢 博 信州大学, 医学部, 特任教授 (40128715)
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研究分担者 |
森川 真悠子 信州大学, 先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所, 助教 (10596068)
増木 静江 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (70422699)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 心臓リハビリテーション / 在宅遠隔型 / インターバル速歩 / 携帯型カロリー計 / 携帯型心電計 / スマホアプリ / IoT / AI / インターバル速歩トレーニング / 在宅・遠隔型個別運動処方システム |
研究開始時の研究の概要 |
近年、慢性心不全患者数は増加し、将来はさらに増加すると予想されているが、現在、彼らを対象に運動処方を実施している医療施設は少ない。我々は、過去15年間で健常高齢者9,700名を対象に「インターバル速歩トレーニング」、「携帯型カロリー計」、「IoTシステム」の3つの特徴からなる遠隔型個別運動処方システムを開発し、5ヶ月間の同トレーニングが、体力を約15%向上し、生活習慣病症状を約20%改善し、年間医療費を約20%抑制することを実証した。そこで、本申請では、このシステムに心電図波形モニター機能を搭載し、慢性心不全患者のための在宅・遠隔型運動リハビリテーションシステムを開発することを目的とした。
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研究実績の概要 |
現在、市中病院で実施されている心臓リハビリテーションの運動処方は、設備、スタッフなど病院側の原因、病院への患者の送り迎えなど患者側の問題によって十分効果の期待できるプロトコールで実施されていない。一方、我々は、IoTを利用した「インターバル速歩」、「携帯型カロリー計」、「IoTシステム」の3つの特徴からなる遠隔型個別運動処方システムを開発し、10000人以上の中高年者に対して、5か月間の同トレーニングの体力向上・加齢性疾患の予防・治療効果を実証してきた。そこで、本研究では、携帯型カロリー計」に心電図モニター機能を搭載することでインターバル速歩中の患者の「安全を確保」し、IoTによる在宅・遠隔型心臓リハビリテーションシステムの開発とその効果の検証を行うことを目的とした。 1)心電図モニター付き携帯型カロリー計の開発: インターバル速歩中の歩行強度と心電図波形を同時に測定・記録する装置を開発した。歩行強度は、3軸の加速度計出力を50Hzで測定し、そこから運動エネルギーを算出し、高度計(気圧計)出力を1Hzに測定し、そこから位置エネルギーを算出し、それらの総和として求めた。一方、心電図波形は、異常心電図を診断できるように200Hzで測定した。歩行強度、心電図波形はMicro-SDに記録した。 2)測定データの転送・解析用のアプリ開発:Micro-SD上の歩行強度、心電図波形、心拍数を無線でスマホに転送し、さらに、それをサーバーに転送するスマホアプリを開発した。そして、インターバル速歩中にゆっくり歩きから速足に移った際の運動強度の変化から、そのタイミングを決定し、それをゼロ時とし、その前後15秒間のそれぞれの測定パラメータをスマホ画面上に表示するプログラムを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、インターバル速歩中の歩行強度、心電図波形を、開発装置から無線(ブルーツース)で随時、スマホに転送し、スマホアプリに搭載されたプログラムによって、過去1分間歩行強度の平均値が個人の速歩レベルに達しているか、否かを判断し、もし達していれば“祝福音”を発生する計画であった。しかし、無線によるデータ転送速度が遅く、しかも不安定で限界があり、一連のインターバル速歩トレーニングが終了してから、同装置のMicro-SD上の測定データをまとめて、無線でスマホに転送する方法に変更した。したがって、インターバル速歩中に、同装置と現有のスマホアプリを一緒に携帯させ、それによって、1分ごとの“祝福音”と、3分ごとのゆっくり歩きと速歩の切り替え音を発生させることにした。 一方、開発装置からスマホに転送されたインターバル速歩中の歩行強度、心電図波形、心拍数について、ゆっくり歩きから速歩に転換した時点をゼロ時にし、その前後15秒間の測定データの「切り出し」ファイルの作成と、それらのスマホ画面上への表示のスマホアプリを開発した。さらにこれらの解析データは、オリジナルデータとともに、サーバーに転送し、保存するプログラムを開発、そのデータへ研究者がアクセスできるようにサーバープログラムを作成した。 そのほか、本研究の進捗に影響した因子として、コロナ禍のため国際的な半導体不足のために装置の開発が3カ月遅れたこととがあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
開発装置を使った心疾患患者における「インターバル速歩」効果の現場検証:フィールドは、現在、長野県厚生連北アルプス医療センターあづみ病院の心臓リハビリテーション科に通院中の中高年軽度心不全患者(NYHA分類II度以下)40名を対象とする。彼らを対象にインフォームドコンセントを取得し、その後、形態測定、呼吸循環機能測定(CPX)、心エコー測定(左室駆出率、左室拡張能、血中脳性Na利尿ペプチド(BNP))測定を行い 、マシントレーニング群(対照群)とインターバル速歩併用群(併用群)にランダムに割付ける。対照群は、従来どおり、同病院で実施していた自転車運動トレーニングを最高酸素摂取量の60%の運動負荷で1日30分、週1回の頻度で実施する。一方、インターバル速歩トレーニングを1日30分、週3日の頻度で、決められた日時に病院内において医療スタッフの管理下で実施する。その際、インターバル速歩の「速歩」の運動強度はCPXで測定した最大酸素摂取量の70%とし、トレーニング中の運動強度、運動量、および心電図波形をスマホ経由でサーバーコンピュータに記録する。6ヵ月の介入後、再度、CPX、心機能測定を行う。インターバル速歩群では、対照群に比べ高い効果が得られ、さらに、それは米国心臓学会(AHA)が保証する効果と一致することが期待できる。
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