研究課題
基盤研究(C)
本研究は,脳波の変化を視覚刺激や聴覚刺激として実験参加者へフィードバックすることで知覚可能にし,参加者自身が脳波を抑制するニューロフィードバックが,軽度認知障害(MCI)高齢者の認知機能に及ぼす効果を検討する。ニューロフィードバックの効果を検討するために、定量的脳波検査や認知機能検査をニューロフィードバックによる介入の前後で実施する。さらに,ニューロフィードバックの長期的な効果を検討するために,介入から6ヶ月後に再び検査を実施する。本研究の結果は,MCI高齢者における認知機能向上や認知症の進行を抑えることに貢献する可能性が期待できる。
本研究では,SMR波(12Hz-15Hz)の振幅を強化,θ波(4Hz-7Hz)の振幅を抑制するニューロフィードバックが軽度認知障害(MCI)高齢者の認知機能に及ぼす効果を検討する。ニューロフィードバックの効果を測定するためにMCI高齢者を介入群と対照群に割り付けて,①定量的脳波検査(QuantitativeElectroencephalogram; qEEG),②ADAS-Jcog,③簡易型認知機能検査(MMSE)をニューロフィードバック介入前後で実施する。本年度は主に本研究で採用予定のドライ電極の選定およびその安定性や信頼性の確認をおこなった。ドライ電極では、接触抵抗を抑えるためのペーストを必要としないため、電極の装着が用意であり、実験参加者への負担を軽減することができる。しかしその一方でドライ電極は従来の測定方法に比べて接触インピーダンスが高くなる傾向にあるため、取得データの信頼性を確認する必要がある。そこでドライ電極を用いて得られた脳波データと従来の電極を用いて得られたデータを比較検討した。その結果、ドライ電極を用いた場合でも信頼性の高い脳波データを得ることが可能であることが示された。
4: 遅れている
円安の影響を受け購入予定であったニューロフィードバック機器の価格が上昇したため、当初予定していた機器の購入を見送り、代替機の購入を検討せざるを得なかった。予算内で信頼性の高い脳波データを得ることが可能な代替機の選定に時間を要したため、予定通り研究を進めることができなかった。
代替機の選定および購入は完了しているため、令和6年度は当初の予定通り、MCI高齢者を対象にニューロフィードバックを実施する。また併せてニューロフィードバックによる介入の効果を検討するために定量的脳波検査やADAS-Jcogをおこなう。
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