研究課題/領域番号 |
22K11382
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
萩原 宏毅 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (80276732)
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研究分担者 |
廣瀬 昇 帝京科学大学, 医療科学部, 准教授 (60460391)
相原 正博 帝京科学大学, 医療科学部, 講師 (90736472)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | サルコペニア肥満 / 運動介入 / BDNF / マイオカイン |
研究開始時の研究の概要 |
サルコペニア肥満とは、肥満とサルコペニアを兼ね備えた状態で、単独のサルコペニア、肥満よりハイリスクな病態であるとして注目されているが、その病態は未だ解明されていない。BDNF脳由来神経栄養因子は、脳から分泌される代表的な生理的活性因子で、神経細胞の維持・成長・分化を促し、長期記憶に重要な役割を果たしている。最近、 BDNFが骨格筋から分泌されてホルモン様に作用する「マイオカイン」としての性質も持つことが報告されている。本研究課題では、モデル動物を用いて、サルコペニア肥満の進行と運動介入におけるマイオカインとしてのBDNFの役割を検討する。
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研究実績の概要 |
サルコペニア肥満とは、肥満とサルコペニアを兼ね備えた状態で、単独のサルコペニア、肥満よりハイリスクな病態であるとして注目されている。しかし、その病態は未だ解明されていない。私たちは前研究課題で、廃用性筋萎縮とそれに対する運動介入が脳由来神経栄養因子(BDNF)に及ぼす影響についてモデルマウスを用いて検討し、骨格筋中の BDNFは血清 BDNFと比較して筋萎縮時の減少は小さく、運動介入時の増加の程度は大きいことを見出した。この結果より、骨格筋由来のBDNFは、筋萎縮から運動介入の過程で「マイオカイン BDNF」として独自の役割を果たしていると考えた。本研究課題では、このマイオカイン BDNFの役割を調べるために、(1)サルコペニア肥満の進行と運動介入におけるマイオカインBDNFの動態、(2) マイオカインBDNFと関連して変動する因子を解明することを研究目的とした。サルコペニア肥満モデルマウスは、高脂肪食を摂取させ肥満にした後、ギプス固定法で筋萎縮を誘発し作製した。その他、正常対照群、肥満群、サルコペニア群、運動習慣のある正常対照群と肥満群も用意した。今年度は、各群における骨格筋BDNFタンパク量および骨格筋BDNFや、その関連因子の遺伝子発現を解析した。その結果、骨格筋のBDNFは、正常対照群に比べて肥満群で低下し、サルコペニア肥満群でさらに低下していた。また、マイオカインBDNFと関連して変動する因子として、正常骨格筋において持久的運動による応答・適応に関与するAMP-activated protein kinase(AMPK)の関与が示唆された。次年度は最終年度になるため、サルコペニア肥満およびそれに対する運動介入がマイオカインBDNFおよび AMPKを含めた関連する遺伝子の変動にどのように影響するか解析した結果をまとめていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、サルコペニア肥満群、正常対照群、肥満群、サルコペニア群、運動習慣のある正常対照群と肥満群の各群における、骨格筋BDNFタンパク量および骨格筋BDNFや、その関連因子の遺伝子発現を解析した。これまで得られた結果では、骨格筋の BDNF量は、正常対照群に比べて肥満群で低下し、サルコペニア肥満群でさらに低下していた。また、マイオカインBDNFと関連して変動する因子として、正常骨格筋において持久的運動による応答・適応に関与するAMP-activated protein kinase(AMPK)の関与が示唆された。これらの結果は、国内学会全国大会にて発表した(〔学会発表〕)。現在までのところ、当初計画していた二年目の研究内容についてはほぼ予定通り実施出来ている。このため、研究はおおむね順調に進展していると評価した。来年度は、本年度行った解析を繰り返して結果を確定させるとともに、本課題の研究目的である、サルコペニア肥満およびそれに対する運動介入がマイオカインBDNFおよび AMPKを含めた関連する遺伝子の変動にどのように影響するかについて、解析した結果をまとめていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本研究課題の最終年度にあたる。当初計画した通り、各群のマウスの骨格筋の遺伝子発現を網羅的に比較する。解析はマイクロアレイ法と、リアルタイム PCR法を併用する。これにより、サルコペニア肥満およびそれに対する運動介入がマイオカインBDNFおよびAMPKを含めた関連する遺伝子やレプチン、アディポネクチンの発現変動に影響するかを解析する。また、骨格筋由来の培養細胞 (C2C12 細胞)における BDNFとそれに関連する因子、特に AMPK、レプチン、アディポネクチンに着目してこれらの動態を検討する。免疫組織学的、生化学的解析を行うとともに、マイクロアレイやリアルタイム PCR 法で遺伝子発現も検討する。そして、これらの解析で得られた結果をまとめて、研究計画を完遂したい。
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