研究課題/領域番号 |
22K11395
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
小栢 進也 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (90611426)
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研究分担者 |
長谷 和徳 東京都立大学, システムデザイン研究科, 教授 (10357775)
瓜谷 大輔 畿央大学, 健康科学部, 准教授 (10454802)
WANG SENTONG (WANG Sentong) 成蹊大学, 理工学部, 助教 (20964076)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 変形性膝関節症 / 膝回旋 / 関節ストレス / 歩行 / 有限要素法 / 筋骨格モデル解析 / 予防医療 / 回旋 / 膝の痛み / 軟骨変性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は膝回旋運動と膝の疼痛および変形性膝関節症進行の関係を明らかにし、膝回旋制御による新たな予防法の確立に向けた理論構築を目的とする。そのため、リハビリテーションと工学を融合させ、「膝回旋運動と膝の疼痛および軟骨損傷の関連性」に関する横断・縦断研究、「膝回旋運動の筋骨格シミュレーション」研究を実施する。膝回旋制御による疼痛発生メカニズムを解明し、高齢化社会に向けた新たなヘルスプロモーションの提案や健康寿命の延伸に貢献する。
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研究実績の概要 |
2023年度に実施した研究は1)膝回旋運動と膝関節機能の縦断変化、2)膝回旋による関節ストレスの影響の検証である。 膝回旋運動と膝関節機能の縦断研究においては、昨年度の計測データを元に1年間の変化を検証する予定であった。しかし、2022年度の歩行計測データにおいて欠損値が多く、追跡ができない状況である。そこで、本年度のデータをベースラインとして2024年度まで1年間結果を追跡することとした。2023年度は高齢者69名を対象にして直線歩行・曲線歩行の膝関節回旋計測、膝関節組織状態の超音波計測、関節機能調査を行った。これらの横断調査をまとめ、膝関節回旋運動と膝関節機能の関連性を国際雑誌に投稿している。この結果より、曲線歩行で膝内旋が大きい高齢者は、軟骨損傷や骨棘など変形性膝関節症の組織変化が生じやすいことを見つけ出している。 また、膝回旋による関節ストレスの影響に関しては、膝回旋に特化した有限要素筋骨格モデルを開発中である。これまでに作成した骨、半月板、軟骨、筋、靭帯の膝関節モデルを改良し、一部の解析が終了済みである。現在のモデル解析の問題は、内側半月板の後根に荷重が集中すると計算上限を超えることであり、膝関節モデルの形状を再検討することで問題解決に取り組んでいる。一方で、歩行データの大部分は取得済みである。膝回旋の影響を検証するため20名分のtoe-out歩行、toe-in歩行、通常歩行データを計測している。この計測データの中でtoe-out歩行と通常歩行が解析可能であった数名分は、結果をまとめて国内学会発表に投稿している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
縦断研究は2022年度から2023年度の変化を調べる予定であったが、データ計測の不備より検証できていない。そこで、縦断調査を1年後ろをずらし、2023年度から2024年度の変化を検証することとした。この縦断研究の進捗は遅れはいるが、毎年行っている地域高齢者の身体機能計測会の中で2024年度も実施するため、計測実施環境は整っている。 関節ストレスの検証研究の進捗は順調である。筋骨格モデル、膝関節モデルを本研究の目的動作である膝回旋に適応する工程は予定通り進んでいる。また、膝回旋の動作解析においては予定よりも多くの計測が終了しており、順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は2023年度と同様に高齢者の身体機能計測、特に超音波による膝関節組織の状態および膝関節機能を評価する。測定は2024年9月上旬に埼玉県立大学で実施する。昨年度同様の計測会に参加した被験者に連絡して被験者を募集する。2022年度の計測会に参加して2023年度も参加した方は80%であり、今回も多くの被験者の縦断データが計測可能と考えている。 関節ストレスの検証は解析に用いるモデルの改良が必要である。有限要素モデルにおいて荷重面積が非常に小さいと過大なストレスがピンポイントで生じる。この問題が発生しやすいコンタクト初期および最終時期(初期接地および足先離地)は、荷重が十分生じる時期と比べると重要な結果ではない。そこで、膝関節内の接触面積を増やすために、モデル組織の形状表面をわずかに変えることで、問題に対処する。このモデルを元にこれまで計測したデータを解析する。 縦断データおよびモデル解析データを集計して、国際学会および国際論文に投稿する予定である。
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