研究課題/領域番号 |
22K11399
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
後藤 純信 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (30336028)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 半側空間失認 / 機能的コネクトーム / 個性 / 立体運動視刺激 / 誘発電位 / 脳波 / 性格検査 / リハビリテーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、健常成人(40歳~70歳)と左側半側空間失認(USA)患者群(年齢40-70歳) 各15名を対象とし、「個性」(性格)の違いによって視覚情報の脳内処理メカニズムにどのような相違があるかを、視覚関連領野とそれ以外の領野との連関を中心に検討する。 研究は大きく2つからなり、研究①では、心理的性格分類と脳波(誘発電位の主成分やγ帯域微小律動波(γ波))の頭皮上分布の相違を検討し、研究②では、心理的性格分類とrs-fMRIとの相関を検討する。研究①と②より、健常者とUSA患者での「個性」による脳内機能連関の相違を明らかにする。
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研究実績の概要 |
今まで我々が行ってきた研究では、同じ疾患で同程度の脳障害でも失認の程度やリハビリテーションによる回復程度が大きく異なり、患者の環境因子に基づく「個性」が大きく影響している可能性が示唆されている。本研究では、「個性」を「性格の違い」と定義し、立体運動視覚刺激を与えた時の健常脳とUSA脳での脳内情報処理ネットワークが、「個性」でどのような相違を生じているかを電磁気生理学手法や機能画像で検討し、USA脳の障害メカニズムやリハビリテーションが脳可塑性にどのように影響を与えているかを明らかにすることを目的としている。研究①は、心理的性格分類と脳波(誘発電位の主成分やγ帯域微小律動波(γ波))の頭皮上分布の相違を検討し、研究②では、心理的性格分類とrs-fMRIとの相関を検討する。研究①と②より、健常者とUSA患者での「個性」による脳内機能連関の相違を明らかにすることとした。2年目の本年度は、健常成人(40歳~60歳)の10名と健常老年者(65歳~75歳)3名を対象として、「個性」(性格)の違いによって視覚情報の脳内処理メカニズムにどのような相違があるかを、被検者にNEO-FFIに回答してもらい、視角15x18度の黒色画面に、400個の白色ドット(視角0.5度)を用いた放射状運動(optic flow,OF)の3D刺激画像を、刺激間隔1500ミリ秒~3000ミリ秒で750ミリ秒呈示して、眼球運動をモニターしながら、その際の全頭(256ch)での電気反応の変化を記録した。その結果、健常成人群では10名全てで、3D-OFに特徴的なP100, P200およびP250のピークを確認でき、「個性」の違いによる電位変化は認めなかった。一方、老年者では、各ピークにばらつきがあるものの、全体としては各ピークの延長の傾向が認められている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、研究開始2年目であり、健常成人(40歳~60歳)10名と健常老年者3名を対象とし、「個性」(性格)の違いによって視覚情報の脳内処理メカニズムにどのような相違があるかを、被検者にNEO-FFIに回答してもらい、視角15x18度の黒色画面に、400個の白色ドット(視角0.5度)を用いた放射状運動(optic flow,OF)の3D刺激画像を刺激間隔1500ミリ秒~3000ミリ秒で750ミリ秒呈示し、眼球運動をモニターしながら、その際の全頭(256ch)での電気反応の変化を記録した。その結果、健常成人群では10名全てで、3D-OFに特徴的なP100, P200およびP250のピークを確認でき、「個性」の違いによる電位変化は認めなかった。一方、老年者では、各ピークにばらつきがあるものの、全体としては各ピークの延長の傾向が認められた。しかし、老年者では、刺激視聴で没入感を与えるため、視力矯正や眼球運動の多発によるノイズの多さが問題となり、対象者数を増加させることが困難であり、現在対策を検討中である。さらに、NEO-FFIとの比較やそれぞれのピークの頭皮上分布の個人差については今後解析する予定であるが、「個性」評価にばらつきが多く、今後両群ともに倍以上の対象者数が必要と思われるため、計画よりやや遅延していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降、本実験の対象者を増やすことを主眼とし、今まで通り、研究①(心理的性格分類と電磁気生理学的検討(EEG記録と解析))として、被検者にNEO-FFIに回答してもらった後、視角15x18度の黒色画面に、400個の白色ドット(視角0.5度)を用いた放射状運動(optic flow)の3D刺激画像を刺激間隔1500ミリ秒~3000ミリ秒で750ミリ秒呈示し、眼球運動をモニターしながら、その際の全頭(256ch)での電気反応の変化を記録する。解析は、刺激で誘発される主成分の振幅や潜時の変化とその頭皮上分布をNEO-FFIの結果で分類して解析するだけでなく、脳の情報処理に関与するとされるγ帯域微小律動波(γ)に着目し、その脳内分布の時間的変化を検討する。また、研究②(心理的性格分類とrs-fMRI(resting state-fMRI)の相関の研究)では、研究①の被検者を対象として、MRIを撮影し、rs-fMRIを記録する。rs-fMRI解析では、視覚系に限らず想定できる脳内機能的ネットワークモデルについて詳細な統計学的機能連関を検討する。
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