研究課題/領域番号 |
22K11420
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
宮里 実 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70301398)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 加齢膀胱 / 末梢神経 / 脳内可塑性 / ニューロモデュレーション / 低出力体外衝撃波 / 脳梗塞 / 間質性膀胱炎 |
研究開始時の研究の概要 |
加齢膀胱の不可逆的変化の機序として、末梢―中枢神経(脳幹、大脳)ネットワーク変化に着目、責任神経回路を同定する。また、ニューロモデュレーションの効果はなぜ持続するのか、モダリティーとして低出力体外衝撃波を使用、中枢への正の効果(脳内可塑性誘導)を証明、さらにはネットワークの統合的理解による新たな治療概念を構築する。
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研究実績の概要 |
加齢膀胱の原因として、末梢神経の膀胱尿道協調運動障害、その中心的役割を担っているのが、骨盤神経を介した神経ネットワークであることを明らかとしてきた。しかし、中枢制御の詳細機序は解明されていない。本研究では、社会環境的状況に応じて尿意を我慢することを制御するon-off中枢が脳橋排尿中枢(PMC)を中心とする中枢性排尿反射(Micturition reflective circuitを提唱)内に存在すると仮定、加齢に伴う神経ネットワーク変化とその責任神経回路を同定する。実験1:加齢ラットに、低出力体外衝撃波照射(0.12mJ/mm2 2Hz 200shots週3回、3週間 計9回1800shots)を施行したところ、尿道基線圧の上昇及び尿道弛緩反応の回復が見られた。さらには、外尿道括約筋の反応も増強した。これまで不可逆的変化で有効な治療がないとされてきた加齢膀胱・尿道機能の再生効果が証明され、本研究内容の特許出願を行った。実験2:脳梗塞に伴い、視床下部、縫線核、青斑核の上位経路が障害され、その下行路の尿道閉鎖圧が減弱することが示唆された。実験3:リポポリサッカライド(LPS: lipopolysaccharide)で膀胱炎を誘発した間質性膀胱炎モデルラットに対し低出力体外衝撃波を照射したところ、疼痛や膀胱機能の改善、膀胱の線維化及び筋層内のS-100(有髄神経マーカー)染色陽性の改善が見られた。実験4:間質性膀胱炎患者の大脳機能解析を行ったところ、右海馬:右小脳半球とのconnectivity低下、左中心前回:左前頭葉弁蓋部とのconnectivity上昇、左中心後回:右下後頭小葉とのconnectivity上昇、左視床:右上側頭回および中側頭回とconnectivity上昇が見られた。慢性内臓痛の脳内変化と捉えられ、さらに症例蓄積中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、大脳機能解析によりヒトでの検証が進んだ。一方、基礎実験においては電気生理実験の機器の整備を今年度予定しており、幾分遅れている。整備後、速やかに実験を遂行したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
具体的には、ヒトと動物モデルを用いて以下の3つを予定している。実験1:高齢難治性過活動膀胱患者の脳機能イメージングで、大脳機能変化と責任回路の同定を行う。実験2:若年、加齢動物モデルにおいて、標的1:脊髄・中脳水道周囲灰白質(PAG)・橋排尿中枢、標的2:視床下部内側視索前野(MPOA)からPMCへの投射(MPOAからPMC回路への投射)、標的3:青斑核(LC)からPMCへの投射(PMCからLC回路への投射)において、解剖学的、電気生理学的、光遺伝学的、化学遺伝学的手法による状況依存的排尿行動のon-off回路と加齢にともなう変化を検証する。実験3:末梢神経可塑性誘導(ニューロモデュレーション)が明らかとなった低出力体外衝撃波の中枢効果と治療展開の可能性を様々なモデル(脊髄損傷、母子隔離、骨盤底機能障害)で検証する。
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