研究課題/領域番号 |
22K11458
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
高梨 利恵子 帝京大学, 文学部, 講師 (30755848)
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研究分担者 |
吉田 斎子 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任助教 (00789745)
田口 佳代子 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任助教 (50836921)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 慢性疼痛 / 神経発達症 / 認知行動療法 / 心理療法のプログラム開発 / 治療マニュアル |
研究開始時の研究の概要 |
慢性疼痛の高い罹患率は本邦を含め先進国で問題となっているが、慢性化による心理・社会的問題が加わることなどにより難治となることが多い。近年痛みの問題を抱え医療機関を受診する患者の中に、高率で注意欠陥多動性障害や、自閉スペクトラム症などの発達障害が認められることが報告されている。慢性疼痛の認知行動療法のエビデンスが積み上げられつつあるが,発達障害を背景に持つケースでは,特性を踏まえた対応が行われなければ治療は一層困難となることが考えられる。本研究では発達障害を併存した慢性疼痛患者に特化した認知行動療法プロトコルを開発し、既存のプロトコルよりも疼痛症状の改善がみられることを検証することを目的とする。
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研究実績の概要 |
一般の男女約30,000人を対象に行った慢性疼痛と神経発達症の合併率、および慢性疼痛に関連する神経発達症の認知,行動的特性について明らかにすることを目的としたweb調査の結果を解析し、論文化に向けて準備を行った。調査では、6か月以上痛みを主とした身体症状を抱え、The Somatic Symptom Disorder B Criteria Scale (SSD 12)において23点以上となったケースを慢性疼痛あり群、0点であったケースを慢性疼痛なし群として、性別と年齢をマッチングし、2群を構成した。この2群で、注意欠如多動症、自閉症スペクトラム症、パーソナリティの傾向を比較を行った。さらに、慢性疼痛のありなしを目的変数、注意欠如多動症、自閉スペクトラム症、パーソナリティの各下位尺度を説明変数として回帰分析を行い、慢性疼痛と関連する変数を明らかにすることを試みた。 この結果を踏まえ、神経発達症を併存した慢性疼痛患者に特化した認知行動療法の心理教育プログラムの開発を行った。本プログラムは、我々のチームが開発し改善効果を検証した慢性疼痛の認知行動療法プログラム(痛みのメカニズムについての心理教育や、リラクセーション、注意シフトトレーニング、アサーション、安全行動分析などからなる)をベースに、発達特性と痛みの関係についてや、痛みの過剰注目といった発達特性を考慮した内容が盛り込まれている。 さらにこのプログラムの安全性,実行可能性を確認することを目的とした臨床試験を計画し、倫理申請を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度実施した調査結果を踏まえた介入プロトコルの作成を行い、臨床試験の計画を倫理申請済みである。リクルートに関しては、昨年度調査時のサンプルを踏まえて実施可能である。
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今後の研究の推進方策 |
すべての被検者の試験参加スケジュールを同時とし、介入群・対照群のプログラムは一斉にスタートさせる予定であり、次年度中に臨床試験を終了することが可能となる見込みである。 本研究はパイロット研究の位置付けであり、まずは神経発達症以外に複雑な合併症がなく、モチベーションがあり患者が自身がアクセスするWebを活用するプログラムを開発するが、今後、より複雑で高い重症度である対象へのプログラムへの改修と効果検証の最初のステップとする。
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