研究課題/領域番号 |
22K11468
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
長谷川 裕晃 宇都宮大学, 工学部, 教授 (90344770)
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研究分担者 |
村上 正秀 筑波大学, システム情報系(名誉教授), 名誉教授 (40111588)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 生地通気性 / 揚力 / 抗力 / 風洞試験 / 流れの可視化 / 翼型 / 揚抗比 / 生地 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、スキージャンプスーツ生地の通気量と空気力(揚力、抗力)の関係を流体力学的手法によって調べ、その詳細を解明し、より高性能なスーツにつながる新しいスーツ理論の構築を試みる。ジャンプの飛距離は、揚力と抗力の比に大きく影響を受ける。一般的に大きな揚力を得るには生地に通気性が無い方が有利と考えられているため、競技規定では通気量の下限値が定められているにすぎない。しかし我々の先行研究では、通気量が増えることで失速角が大きくなり、揚抗比の改善につながる結果が得られている。本研究では、この予備的知見をさらに詳しく確固たるものとし、競技戦略としてのジャンプスーツの概念が大きく変わる可能性を提案する。
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研究実績の概要 |
外被の通気量の違いが引き起こす流体現象として、失速遅れに着目した。昨年度実施した翼型模型に通気性のある生地を巻き付けた風洞試験での空力評価から、通気量が大きくなるにつれ失速が遅れるが、通気量が多すぎた場合には失速が早まっていた。この通気量の違いで物体周りの流れが変わり失速特性が変わる現象は、物体と生地の間に入る流れが影響していると予測した。つまり、生地に通気があることで、生地と物体の間に流れが入り、その流れが、再び生地の通気性により、物体表面に出ることで物体周りの流れが変わっていると考えた。 このことを確認するために、物体表面にパウダーを塗布し、そのうえから生地を被せ、物体に通風した。その結果、通気量が大きくなるにつれ、物体表面に塗布したパウダーが流されていることがわかった。これは生地を通して物体表面に流れが入ったことを意味する。さらに、生地に光をあてて生地に設けてある通気量をコントロールしている穴を見たところ、物体上の特定の位置での生地の穴がパウダーで埋まっていることが確認できた。これは、物体表面からの流れが生地を通して、再び流れ出たことを示す。こうして、外被の通気量の違いが物体の空力特性に及ぼす影響として仮説を立てた内容の妥当性が、概ね確認できた。 つまり、外被の通気性で生地を通過し、流れが物体表面に入り、その流れが、生地から再び流出していることになる。そして、こうした現象は、通気量が大きくなり過ぎた場合は、確認できなかったことからも、通気量が大きくなり過ぎた場合に、失速遅れが生じなかった理由と言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
通気量の違いでの生地を被せた物体後方の流れ場の詳細な評価までに至らなかったが、実験系の設計は概ね完了していることと、これまで示すことができなかった、生地と物体の間に入った流れの様相を示すことができたことから、計画通りに進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までの成果で、外被の通気性が物体表面での流れに影響することが確認できた。今後は通気量が変わることで生じる物体後流構造の違いを明らかにしていく。その上で、ジャンパー模型を使用し実際に生地の通気量の違いでの空力特性の評価を試みる。
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