研究課題/領域番号 |
22K11469
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯野 要一 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (50345063)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 関節運動協調 / 冗長性 / 心理的ストレス / 投動作 / 関節の協調運動 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトの多くの運動は、目的とする変数の数(例えば指先の位置)より操作可能な変数の数(例えば関節自由度)のほうが多いという意味で冗長性を有している。このような冗長性を利用は、外乱などの環境の変化への適応を容易にすることが示唆されている。本研究では、心理的ストレスを身体内部の環境変化と捉え、心理的ストレス下でこの冗長性を利用した目的変数の安定化がどのように影響を受けるかを投運動を対象として明らかにする。
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研究実績の概要 |
これまで冗長性のある運動課題において、遂行変数を協調的に変動させることで結果変数を安定化させていることが示され、複数の運動で協調の利用の程度は熟練者が初級者より高いことも示されている。このような協調は、環境の変化への適応を容易にすることも示唆されている。心理的ストレスは身体内部の環境変化ととらえることもできるが、心理的ストレス下において運動の正確性を保つためにこのような遂行変数間の協調を利用できるのかは明らかになっていない。本研究は心理ストレスによって生じるヒトの投運動の正確性の変化が協調性の利用とどのような関係があるかを、遂行変数自体のバラツキと遂行変数間の協調性という2つの評価パラメータを用いて明らかにすることを目的とした。 本年度は、9名の投球経験のある被験者について心理ストレス条件と非ストレス条件下で投運動を行ってもらい、両条件で協調の利用の程度を調べる実験を行った。運動課題は3m前方の地面上の水平面の的を狙ってテニスボールをできるだけ正確に投げることであった。心理ストレスは、先行研究を参考に金銭に関するインセンティブ(目標の的に当ったか否かで謝金額を増減)によって与えた。十分な練習ののち、心理的ストレス条件と非ストレス条件でそれぞれ25球の投球を行ってもらった。モーションキャプチャーシステムで動作を取得し、心拍数と上肢の筋電図を記録した。予備的な解析の結果から今回設定したストレス条件では、非ストレス条件と比較して投運動の正確性の低下がみられないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
被験者へ与える疲労の影響を最小限にしつつ、適切に心理ストレスを付加する実験設定の検討に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
予備的な解析の結果から今回設定したストレス条件では、非ストレス条件と比較して投運動の正確性の低下がみられないことが示唆された。心拍数と筋電図の解析を行い、ストレス条件でストレスによる生理的な変化が生じていたのかを確認する。その上で、観客の存在などより強いストレスがかかる条件の検討を行い、その条件で実験を実施する。幅広いストレス条件下での運動における冗長性の利用についての知見を得る。また、当初、できるだけ速くかつ正確に投球すること運動課題について実験を行うことを考えていた。しかし予備実験の結果、疲労の影響をなくした状態で150回程度の投球試行を行ってもらうことは不可能と判断し、運動課題はできるだけ正確に投球する課題のみについて検討することとした。
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