研究課題/領域番号 |
22K11474
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
飛奈 卓郎 長崎県立大学, 看護栄養学部, 准教授 (60509678)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 2-arachidonoylglycerol / 持続的運動 / 乳酸閾値強度 |
研究開始時の研究の概要 |
運動習慣が身につきやすい人と運動の継続が難しい人にはどのような差があるのか。本研究では運動によって得られる爽快感や高揚感(所謂ランナーズ・ハイ)とその原因物質とされる内因性カンナビノイドの変化と、運動によるストレスの感じ方に焦点を当てて、運動による爽快感や高揚感が得られやすい人ほど、運動介入期間中の実施率や実施時間が長いという仮説を検証する。
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研究実績の概要 |
運動によって爽快感や多幸感が得られた状態はランナーズハイと呼ばれ、その原因物質として内因性カンナビノイド(eCB)が注目されている。eCBを高めることで市民ランナーのように運動習慣を形成することに役立るかもしれない。 申請者は乳酸閾値強度で30分の運動であれば血中のeCBが増加することを報告しているが、集団での間欠的な乳酸閾値強度の運動ではeCBの増加や、eCBの変化量と主観的な運動のきつさの関連を認めていない。親しい人が近くにいると痛みを感じにくくなるとの先行研究からも、個別と集団という運動の環境がeCBや心理面に影響する可能性があるため、本年度は運動の一人で実施した際と、友人と一緒に会話あり、友人と一緒に会話なし、友人同士ではない集団の4パターンで実施してもらいeCBと心理面への影響を検討した。 運動条件は乳酸閾値強度の自転車エルゴメータで30分として、運動前後のeCBと主観的なきつさ (RPE) 、楽しさ・爽快感・不快感・高揚感、The Positive and Negative Affect Schedule (PANAS) を測定した。その結果、すべてのパターンでeCBである2-Arachidonoyl-glycerol(2AG)が増加したが、パターン間で有意差は認めなかった。また友人と一緒に会話ありの条件のみ、運動による不快感の増加を認めず、会話なしの条件のみ楽しさの増加を認めなかった。運動後の"もう一度したいか"の得点と2AGには関連を認めなかったものの、"楽しさ"と正の相関関係、"運動の体感時間"と負の相関関係を認めた。また"楽しさ"と"運動の体感時間"にも負の相関関係を認めた。 この結果は、乳酸閾値強度の継続運動で2AGが増加することを再確認するとともに、運動によって爽快感や楽しさは増加するものの、会話を制限することがこの効果を減少させることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はeCBが運動習慣形成に関連するとの背景から、ランナーズハイの阻害要因を調査することを目的の1つとしている。今回の研究から、乳酸閾値強度の継続運動であれば血中のeCBを増加させることができることを追認し、また友人との集団での運動でも会話を制限することで楽しさを感じにくくなるとの結果を得た。これはランナーズハイの阻害要因の1つであろう。一方で会話があれば運動の不快感が上がりにくいとの結果も得ており、会話の有無が重要な要因であることを示す結果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
乳酸閾値強度で30分の運動であれば血中のeCBが増加することは明らかになったものの、運動開始後どれぐらいの時間で定常するのかは明らかになっていない。これが明らかになれば運動習慣形成支援を目的とした際の1回の運動時間の目安になる可能性があるため、調査をしていきたい。
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