研究課題/領域番号 |
22K11507
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
正木 宏明 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (80277798)
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研究分担者 |
小野田 慶一 追手門学院大学, 心理学部, 教授 (60432712)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 大脳左右偏側性 / 右半球優位性 / 左手把握 / 機能的結合性 / クローズドスキル / 大脳半球偏側性 / 前帯状回 / 脳波 / fMRI |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではスポーツパフォーマンスを向上させる真の脳活動とそれを担う脳部位を同定する。クローズドスキル種目では,脳の右半球賦活が成功を導き,左半球賦活が失敗を導くという。しかしながら,左半球のもつ接近動機づけ機能と右半球のもつ回避動機づけ機能に鑑みると,右半球賦活が良好なパフォーマンスを導く知見は直感に反する。そこで従来の知見を再検証し,良好なパフォーマンスをもたらす脳活動を実験で明らかにする。
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研究実績の概要 |
令和5年度では,テニス・セカンドサーブ課題とダーツ課題で左手反復把握の効果を検証した。 実験1.テニス競技では,失敗の許されないセカンドサーブ時に心理的プレッシャーが強まる。この緊張と不安を左手反復把握が軽減し,セカンドサーブの失敗を抑えることが可能かについて検証した。熟練テニス選手40名(右利き)を左手把握群と把握なし群に振り分けた。プレテストとプレッシャーテストでセカンドサーブのパフォーマンスを比較した。プレッシャーは複数の偽教示によって操作した。左手反復群では課題遂行前に発泡ポリウレタンフォーム素材を20秒間把握した。ボール着地点によって重み付けした得点,その最大得点の獲得回数,接地位置,運動学的指標(ボールおよびスイング速度,打点高)を詳細に解析した。その結果,左手把握群ではプレテストに対してプレッシャーテストで最大得点の獲得回数が有意に増加した(p = .021)。その他の測定事象に差はなく,限定的に左手把握の有益性が認められた。 実験2.参加者(ダーツ未経験者,40名)は一側性のボール把握後にダーツスロー課題を遂行した。ダーツのスコア以外に課題遂行時の脳波,筋電図,心電図を測定した。脳波についてはアルファ帯域の非対称性スコア(alpha asymmetry score: AAS)を求めた結果,左手把握に伴う右半球賦活(偏側性)が確認された。しかしながら,パフォーマンスには左手把握群と把握なし群との間に差はなかった。さらに,左手把握後の脳波について側頭部と前頭部の機能的結合を解析したところ,左手把握が意識的運動制御を抑制するという従来の主張を支持する結果は得られなかった。 一連の実験結果は,課題に熟練していない場合には左手把握効果は期待できないことを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年前倒しで開始したゴルフパッティング実験を終了することができ,解析結果について現在論文化を試みている。また,同様の検証をダーツ課題でも行い,解析を終了した。このように,脳波計測による検証は当初の計画通り順調に進んだ。さらに,セカンドサーブ課題を用いた実験結果は論文として報告した。一方,fMRI実験の実施に遅れが生じていることから,やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度より本格的に開始する予定であったfMRI実験に,プロトコルの見直しから遅れが生じており,分担者の小野田と議論したうえで計画に修正を加えた。具体的には,前帯状回と右腹外側前頭前野の関係に着目することと,言語流暢性課題を用いて言語野と左右半球偏側性との関連を明確にすること,などを検討している。令和6年度の秋にデータを収集する。
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