研究課題/領域番号 |
22K11523
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
澤江 幸則 筑波大学, 体育系, 准教授 (20364846)
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研究分担者 |
永田 真一 筑波大学, 体育系, 助教 (30905592)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | インクルーシブ体育 / インクルーシブ体育授業充実感尺度 / アダプテッド / インクルーシブ・リーダーシップ / ソフト・システム・メソドロジー / 共生社会 / 実地調査 / インクルージョン・スペクトラム・モデル / インクルージョン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本のインクルーシブ体育を推進するため、現在のもっとも重要な課題であるインクルーシブ体育の方法論を定型化するため、英国で開発されたインクルージョン・スペクトラム・モデル第4世代(オリジナルAIM)をもとに、日本版モデル(JAIM)を開発することを目的としたものである。そのために、オリジナルAIMの我が国での適用可能性と限界を調査し、その限界を解決するための国内外の研究者によるディスカッションを通してJAIMを立案する。その検証のための研修会を実施し、国内外の研究者によるディスカッションを通して定型化し公表する。
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研究実績の概要 |
当該年度において、オリジナルのインクルージョン・スペクトラム・モデルの第4版であるアクティブ・インクルージョン・モデル(AIM)の翻訳を試みるとともに、インクルーシブ体育を行っている全国の小学校と中学校、高校に現地調査を行った。そのうち2校については、インクルーシブ体育実施に伴う子ども(集団)および教師の質的変化について分析を行い研究としてまとめた。またAIMを参考にした現職教員向けのアコモデーションを効果的に支援することができるソフト・システム・メソドロジー(SSM)を組み込んだワークショップを行い、実践前後における参加者のインクルーシブ体育に対する意識についてのアンケート調査を実施し研究として発表した。加えてインクルーシブ体育を実施している学校とそうでない学校における子どもに対して、共生社会の実現に向けた体育授業についてのアンケートを行い分析した(次年度に発表する予定である)。 これらの研究成果として、我が国においてはインクルーシブ体育を実施するうえで、障害を含めた多様な人の体育・運動・スポーツ参加を可能とする方法論であるアダプテッドと、元々経営学で発展した理論で、多様な人材を組織内で機能化していくために必要なリーダーに求められる資質であるインクルーシブ・リーダーシップの視点とスキルの必要性、加えて、インクルーシブ体育を実践することで、子どもは障害のある子どもとの共生に対して肯定的に変化すること、SSMを組み込んだワークショップを通じて、参加者のスポーツの価値が多様化することがわかった。これらの研究成果から、AIMとは異なるインクルーシブ体育授業充実感尺度を含めたインクルーシブ体育実践および研修のためのガイドの作成に向けた実証的研究が求められることになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本版AIM(JAIM)そのものを開発することは難しいと判断し、それらの内容を参考に、インクルーシブ体育充実感尺度の開発を行い、パイロット版を構築できたこと、実践研究結果から、インクルーシブ体育を実践するための視点とスキルを特定できたこと、さらにはSSMを取り込んだワークショップの検討できたことから、次年度に、それらの研究成果の検証ができる段階に至り、日本版インクルーシブ体育実践ガイドを研究成果と発表できる見通しがついたからである。
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今後の研究の推進方策 |
該当年度で明らかになった研究成果は開発を行ううえで仮説段階であるため、その仮説を検証するために、インクルーシブ体育実践校と比較群となるインクルーシブ実践を行っていない学校に対して、子どもを対象としたインクルーシブ体育授業充実感尺度、教師のアダプテッド・センシティブ尺度およびインクルーシブ・リーダーシップ尺度の縦断的調査を行うことにしている。加えて、SSMを取り入れたワークショップを行うことで、インクルーシブ体育実践のための講習会のあり方を明らかにしていきたいと考えている。 これらの研究成果をもとに、最終的に日本版インクルーシブ体育ガイドを公表し、広く研究成果を社会実装できるようにしていく。
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