研究課題/領域番号 |
22K11541
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 中部学院大学 |
研究代表者 |
池谷 茂隆 中部学院大学, その他部局等, 教授 (40804711)
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研究分担者 |
上田 真也 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (40616926)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 低山登山 / 食後高血糖 / 糖代謝 / 登山 / 血糖値 / 動脈硬化 |
研究開始時の研究の概要 |
耐糖能異常や動脈硬化の予防・改善を含めた健康の維持・増進に関する運動トレーニングは,アメリカスポーツ医学会のガイドラインを参照しても,週2日以上の頻度で行うことが推奨されているが,一般的に大学体育授業の多くは週1回であり,トレーニング効果がある範囲には入っていない.週1回の運動トレーニングの効果を完全に否定する研究結果が存在する訳ではなく,週1回の低山登山が食後高血糖や動脈硬化の抑制に及ぼす効果を検証することは,大学生が週1回という低頻度である大学体育授業へ参加する際のモチベーションの向上に繋がる点や継続性が高い低山登山を大学における健康教育への導入をする際の基礎資料となると考えられる.
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研究実績の概要 |
2年目は,心拍数が同等の場合における登山歩行と自転車運動で食後の血糖変動に及ぼす影響を比較することを目的とした.階段昇降と自転車運動を同等の心拍数で実施した先行研究は,自転車運動をした場合は階段昇降に比べて,血中乳酸値が高いと報告しており,両者のエネルギー基質の利用割合が異なることを示唆している.本研究における登山歩行は,階段昇降と類似した運動であることを考慮すると,登山歩行と自転車運動はいずれも食後高血糖を抑制するが,その効果は,自転車運動の方が大きいと仮説を立てた. その結果,低山登山及び自転車運動は食後に安静にしている場合と比較して,どちらも血糖上昇を抑制していた.ただし,その効果は自転車運動で低山登山よりも大きかった.また,自転車運動は低山登山に比べて血中乳酸値が高値を示した. 以上のことから,低山登山は食後の血糖上昇を効率よく抑制するひとつの運動処方として有効である可能性が考えられた.ただし,本研究の対象者は健常な若年者であった.収縮刺激による筋への糖取り込みは,健常者と2型糖尿病 (T2D) や肥満者等のインスリン抵抗性のある人と同じレベルで起こることが報告されているものの,血糖の上昇リスクの高い高齢者や肥満者等に本研究の結果をそのまま適用できるか否かについては不明である.今後,インスリン抵抗性の程度と様々な運動による食後高血糖の抑制効果に関する検討についても必要であると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初のプロトコールから若干の変更はあったものの,学術誌に成果を掲載することができた.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は,当初の予定通り,週1回,3ヵ月間の低山登山トレーニングが経口ブドウ糖負荷試験による血糖変動および動脈スティフネスに及ぼす影響について明らかにする.トレーニング前後に,体組成(In body:Tanita社製)および最大酸素摂取量(VO2max)(AE-310:Minato社製)の測定を行う.また,75g経口糖負荷テスト(75g OGTT)を行い,登山トレーニングによる糖代謝機能の効果を検証する. 上記が明らかになれば,生活習慣が劇的に変化する大学生に対しては,大学体育授業や初年次教育等で低山登山のような気軽に取り入れ易い介入プログラムを積極的に活用するべきであるという,大学での健康教育へ向けた新たな提唱が可能となる.
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