研究課題/領域番号 |
22K11547
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
明石 卓也 岩手大学, 理工学部, 准教授 (50403655)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | スポーツ科学 / ビッグデータ / 進化計算 / 深層学習 / コンピュータビジョン / 人工知能 / 認知神経科学 / 認知発達ロボティクス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,脳の機能である「来歴」をAIに導入することにより,『深層学習や遺伝的アルゴリズムといった人工知能(AI)に,人間の認知発達メカニズムを導入し,AIの学習来歴を明確化し,説明可能性の高い認知発達AIを確立する.』ことを目的とする.申請者がこれまで基盤研究(C)や国際共同研究加速基金によって積み重ねてきたニューロサイエンス分野の知見,非接触・非侵襲なセンシング等によって得られるビックデータの収集および利用法を用いる.また,アスリートの育成や高度なコーチングシステムの構築に資する新たな最適化アルゴリズム等を用いて実用的なAIの開発基盤となるAIの解釈可能性と説明可能性等を考慮したAIを提案する.
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研究実績の概要 |
本研究では,脳の機能である「来歴」をAIに導入することにより,『深層学習や遺伝的アルゴリズムといった人工知能(AI)に,人間の認知発達メカニズムを導入し,AIの学習来歴を明確化し,説明可能性の高い認知発達AIを確立する.』ことを目的とする.申請者がこれまで基盤研究(C)や国際共同研究加速基金によって積み重ねてきたニューロサイエンス分野の知見,非接触・非侵襲なセンシング等によって得られるビックデータの収集および利用法を用いる.また,アスリートの育成や高度なコーチングシステムの構築に資する新たな最適化アルゴリズム等を用いて実用的なAIの開発基盤となるAIの解釈可能性と説明可能性等を考慮したAIを提案する. 従来,設計者がロボットの行動を明示的に規定してきたが,認知発達ロボティクスの研究分野では,人間の認知発達過程の理解と,その理解に基づいたロボット設計論を確立することを目的とした研究領域である.実際の取り組みとして,人間の認知発達に関する深い理解と,その視点からAIの学習過程に特化している研究は少ない. 本申請では,「人間の認知発達過程の概念をAIの学習過程に取り入れることで,認知発達的なAIを実現できるか」を学術的な問いとして,スポーツ競技やスポーツにおけるコーチングにおける,最先端のコンピュータビジョンや情報技術によるスポーツデータの取得と最先端のAI技術による統合的解析や、人間の認知では測ることのできない科学的エビデンスに基づくコーチングを自動的に構築することを最終目標とし,そのために必要な認知発達AIの研究に取り組む. 初年度では,研究成果をジャーナル論文として発表し,認知発達AIに関する国際共同研究を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
認知心理学における「来歴」とは,脳と環境がこれまでどのように関わり合ってきたのか,生まれてから延々と紡がれてきたものであり,瞬間的に生じた経験ともいえる.また,来歴とは樹木の年輪と捉えることができ,年輪は過去の記録でもあり,同時に現在の樹木の状態そのもの,ともいえる.脳の来歴は,物の見え方そのものを変えてしまうことも判明している.この脳の機能を深層学習や遺伝的アルゴリズム(GA)などの人工知能(AI)に導入することによって,AIの学習来歴を明確にし,説明可能性の高い新たな認知発達AIを提案する.以上の実現のため,上述の研究協力者と議論し,新たなAIのスキームを提案する.これらの点は,工学的,科学的,学際的な見地から学術的独創性と創造性があるといえる.さらに,脳の機能の理解に貢献し,機械学習・画像認識の性能飛躍的向上の,一石二鳥以上を狙う. 本研究では,脳の機能である「来歴」をAIに導入することにより,『AIの学習来歴を明確にし,説明可能性が高い新たな認知発達AI』を提案する.また,脳の認知機能の原理である「後付け再構成」をAIに導入することにより,『間違った学習の軌道修正を行うような仕組み』を提案する. 初年度では,画像のマッチング問題における将来AIへの入力として利用可能な特徴量に関するジャーナル論文の採録が決定した.また,ニューロサイエンス分野の研究協力者とカリフォルニア工科大学訪問を通じて議論を重ね,ニューロサイエンス,行動心理学(心理物理学)のニーズを踏まえ,「後付け再構成」の考え方をAIに組み込める形に解釈し,人工知能の一種であるGAに導入し,認知発達AIを試作を開始した.並行して,そのテストに使用する問題として,岩手医科大学から提供される医療ビックデータの利用して検討をすすめ,成果を学会で発表する予定である.したがって,おおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
認知心理学における「来歴」とは,脳と環境がこれまでどのように関わり合ってきたのか,生まれてから延々と紡がれてきたものであり,瞬間的に生じた経験ともいえる.例として「滝の錯視」と呼ばれる運動残効という知覚現象がある.これは,一定方向に運動している対象をしばらく注視してから静止対象をみると,それが逆方向に動いて見える現象である.この現象は,一時的に脳が環境によってチューニングされ,新たな来歴が脳に刻まれたと考えられる.そこで,本研究では,AIに新たねスキームとして,「来歴」導入することにより,説明可能性が高い新たな認知発達型AIを提案する.さらに,より人間の脳の認知機能に近いAIを実現するため,後付け再構成導入に取り組む. 2年度では,深層学習への「後付け再構成」の導入の検討を始め,同時に「来歴」の概念をAIに導入するための準備として,その解釈やアルゴリズムの実装を進める.必要に応じて1年目と同様にニューロサイエンス分野の研究協力者と議論を重ねる.さらに,GAや深層学習に「後付け再構成」だけではなく「来歴」の導入に取り掛かる. 最終年度では,GAや深層学習に「来歴」の導入し,これまでに構築した認知発達AIの洗練化を実施する. また,年度ごとに成果をまとめ,複数回の学会や論文投稿に加え,著名な国際会議で順次発表しする.さらに,研究紹介の形式で高校生にも分かりやすい言葉でwebページに掲載し,オープンキャンパス等において紹介する予定である.
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