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廃用性筋萎縮におけるミトコンドリア機能障害を抑制する分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K11557
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分59020:スポーツ科学関連
研究機関弘前学院大学

研究代表者

宇田 宗弘  弘前学院大学, 看護学部, 准教授 (80549262)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワードメバロン酸経路 / 解糖系 / ミトコンドリア / mTORC1 / 速筋 / 筋萎縮 / カルシウム / カルシウムイオン
研究開始時の研究の概要

骨格筋の不活動は筋量の減少を生じさせる。これにはミトコンドリアによる過剰なカルシウムイオンの取り込みによるミトコンドリア機能障害が関与すると考えられている。しかし,その分子メカニズムは明らかにされていない。このメカニズムを解明することにより,入院中および在宅での看護やリハビリテーション,介護予防の方法の開発など,医療や介護および健康の保持増進などの広い分野に貢献することが期待できる。

研究実績の概要

2023年度は、不活動によって萎縮した速筋において、糖の取り込み、解糖系、ミトコンドリア、コレステロールの生合成に関わる酵素の発現をウエスタンブロット解析で検討した。
萎縮した速筋では糖の取り込みと解糖系が活性化することが報告されている。そこで、これらに関わるタンパク質発現を分析した結果、萎縮した速筋ではGLUT1とGLUT4の発現は変化しなかった。一方、ミトコンドリア内において、解糖系により産生されるピルビン酸をアセチルCoAに変換する酵素であるPDHE1aの発現は、萎縮した速筋において増加し、また脱リン酸化され活性化することが明らかになった。
次にミトコンドリアのTCAサイクルの律速酵素であるIDH2、IDH3、OGDHの発現を検討した。その結果、萎縮した速筋ではIDH2とIDH3の発現が減少し、OGDH発現は変化しなかった。これらの結果から、ミトコンドリアの代謝産物の一部は、ミトコンドリア外に輸送され、コレステロール生合成に関わる経路に入る可能性が考えられた。
次にコレステロール生合成に関わる代謝経路の酵素の発現を検討した。萎縮した速筋におけるACLY発現に変化は認められなかったが、コレステロール生合成に関わるメバロン酸経路の律速酵素であるHMGCR発現は増加した。これらの結果から、萎縮した速筋ではメバロン酸経路が活性化することが示唆された。
メバロン酸経路の活性化はmTORC1の上流に位置するシグナル伝達タンパク質であるAKTと、mTORC1の活性化に関わるRhebの活性化に関与している。そこでAKTとRheb、さらにmTORC1の活性化に関わると考えられているERK1/2の発現とリン酸化の程度を確認した。その結果、萎縮した速筋ではAKTとERK1/2が活性化していないことが示唆された。一方、萎縮した速筋におけるRheb発現は増加した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度は、萎縮した速筋において、ミトコンドリア生合成やタンパク質の合成と分解に関与するmTORC1の活性化に関与する可能性があるエネルギー代謝や、コレステロール生合成に関わる種々の酵素の発現やリン酸化について検討し、コレステロール生合成に関わるメバロン酸経路の活性化がmTORC1の活性化に関与するという仮説を見出すことができた。また、昨年度と今年度の研究結果をまとめて、論文として国際学術雑誌に掲載することができた。
本研究課題は「廃用性筋萎縮におけるミトコンドリア機能障害を抑制する分子機構の解明」である。不使用による筋萎縮の程度が小さい速筋では、筋の不使用により、ミトコンドリア生合成に関わるmTORC1が活性化することで、ミトコンドリア機能障害を抑制している可能性がある。また、このmTORC1の活性化にはメバロン酸経路の活性化が関わる可能性があることを見出した。このように、ミトコンドリア機能障害を抑制する分子機構に関する仮説を見出すことができたため、概ね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

2024年度は、2023年度に見出した仮説が、速筋である足底筋に比べて、筋の不使用による筋萎縮の程度が大きいヒラメ筋や腓腹筋にも当てはまるのか否かを検討するために、各筋サンプルを分析するための準備を行う。また可能であれば、各種タンパク質発現の分析も行う予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Effects of hindlimb unloading on the mevalonate and mechanistic target of rapamycin complex 1 signaling pathways in a fast‐twitch muscle in rats2024

    • 著者名/発表者名
      Uda Munehiro、Yoshihara Toshinori、Ichinoseki‐Sekine Noriko、Baba Takeshi
    • 雑誌名

      Physiological Reports

      巻: 12 号: 5

    • DOI

      10.14814/phy2.15969

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 尾部懸垂がラット速筋の代謝酵素の発現とmTORC1シグナル伝達経路に及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      宇田宗弘、吉原利典、関根紀子、馬場猛
    • 学会等名
      第9回日本筋学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 後肢除負荷がラットの足底筋におけるミトコンドリアのカルシウム取り込みに関わるタンパク質発現に及ぼす影響2022

    • 著者名/発表者名
      宇田宗弘、吉原利典、関根紀子、馬場猛
    • 学会等名
      第77回日本体力医学会大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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