研究課題/領域番号 |
22K11558
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
遠藤 伸太郎 千葉工業大学, 先進工学部, 助教 (20750409)
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研究分担者 |
大石 和男 立教大学, 名誉教授, 名誉教授 (60168854)
矢野 康介 独立行政法人国立青少年教育振興機構青少年教育研究センター, 青少年教育研究センター, 研究員(移行) (30967568)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 謙虚さ / ジュニア選手 / 他者評価 / 部活健康度 / 尺度作成 / 文化差 / 挫折経験 / QOL / 競技力向上 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本人の強みである謙虚さに注目し、ジュニア選手の謙虚さを高めることで選手のQOLおよび競技力の向上を目指す。代表者は、成人競技選手において挫折からの立ち直りを促し、競技力向上につなげる重要なプロモーターの一つとして謙虚さを見出している。しかし、ジュニア選手ではこれらの関連が全く不明であるため、その介入方策も確立されていない。そこで、まずジュニア選手を対象とし、競技環境なども含めた総合的な挫折からの立ち直りを促す謙虚さのプロセスモデルを構築する。次に、そのモデルから介入方策を考案して、その効果を心理的、生理的なエビデンスを基に検証する。
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研究実績の概要 |
Relational Humility Scale(Davis et al., 2011)が、もともと他者評定により作成されたものであることを踏まえ、ジュニア選手において重要な存在である指導者のHumilityを測定することが可能であるのか、また、指導者のHumilityがジュニア選手の所属する環境に対してどのような役割を果たすのかを検討した。運動部に所属している中高生143名を分析対象とし、以下に示す内容へ回答を依頼した。1. 部活動の活動状況:部活動の活動頻度、部活動の継続年数(1年~6年の6段階で評価)、部活動の競技レベル(出場経験なし~全国大会レベルの5段階で評価)、2. Relational Humility Scale(RHS):回答者本人、回答者が所属する部活動の指導者の指導時におけるHumilityの程度、3. 部活健康度尺度(太田他,2023):顧問の指導力、チームワーク、強制圧力、部活の成果、開放性の5因子で構成。分析の結果、最終的に顧問の指導力には、指導者の指導時SuperiorityとAccurate View of Selfが有意に関連していた。チームワークには、指導者の指導時Superiorityが有意に関連していた。部活の成果には、回答者本人のAccurate View of Selfと指導者の指導時Superiorityが有意に関連していた。開放性には、指導者の指導時Global Humilityが有意に関連していた。したがって、先行研究同様に、指導者のHumilityが特に重要な役割を果たすこと、部員に対して傲慢な態度をとらないようにすることの重要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行したものの、前年度までと同様に、協力者との日程調整が整わないことなどの理由により、協力者を対象とした調査実施(インタビュー調査)が計画通りに進捗しなかった。そのため、本研究課題の最終目的(挫折からの立ち直りや、その経験を通してQOL、競技力向上を促す謙虚さを向上させる介入方策を確立する)を達成できたとは言い難い。そのため、現在までの進捗状況は、当初の計画から「やや遅れている」と判断した。しかしながら、我が国におけるHumilityに関する知見は少ないことに加え、謙虚さとHumilityは異なる概念であるものの、通じる部分も存在する可能性を踏まえ、ジュニア選手にとって重要な存在である指導者(他者評価)の側面を交え、Humilityの機能について検討した。分析の結果、指導者のHumilityが体罰防止に関連する指標である部活健康度に関連することが示された。次年度には、挫折やQOLに関するデータを収集し、Humilityの機能をより詳細に明らかにするとともに、謙虚さと通じる部分を検討する。これらの分析をすることにより、本研究課題の目的を概ね達成できるものと期待される。
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今後の研究の推進方策 |
Humilityは日本人の謙虚さを測定することが難しいものの、Humilityと謙虚さには通じる部分があると考えられる。加えて、我が国においてHumilityに関する知見は少ない。そこで、ジュニア選手のHumilityの機能と高める要因について、挫折に関する指標(例えば、同化・調節、心理的成熟、心的外傷後成長)、QOLに関する指標(WHO-5、K10)、競技パフォーマンスに関する指標、人間関係に関する指標、それに様々な体験に関する指標をそれぞれ収集する。これらの変数との関連について分析しつつ、Humilityと謙虚さの通じる部分を検討する。2024年度は、学会発表や論文投稿を通じて以上の成果を発信しつつ、今後ジュニア選手の謙虚さを高める介入方策を確立する。
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