研究課題/領域番号 |
22K11568
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
高山 成 大阪工業大学, 工学部, 教授 (40403373)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | ウェアラブル / 暑熱応答 / 潜在有効発汗量 / ヒートアイランド |
研究開始時の研究の概要 |
日常的に使用できるウェアラブル端末は,一般に装着可能な小型センサ,スマートフォン・ウォッチ,イヤホンなどいわゆる非侵襲のものであり,深部体温を直接モニタリングすることはできない.そこで本研究では,① ウェアラブルタイプの小型センサによる気象・温熱生理反応要素の測定方法の提案 ② 人体熱収支モデルに基づく観測フレームの提案 ③ 屋外フィールド競技におけるウェアラブル端末を活用した人体熱負荷曝露実験の試行 という課題に取り組む.ウェアラブル端末を活用した気象要素と人体の温熱生理反応要素の同時観測により,人体熱収支モデルに則して熱負荷-熱放散のプロセスに関する情報を一定の品質で収集する.
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研究実績の概要 |
2021年8月に開催された東京オリンピックでは,選手の熱中症リスクマネジメントの観点からマラソンと競歩の会場が札幌へ変更された.しかし,8月8日に行われた男子マラソンでは,出場した106人中30人が途中棄権するなど,改めて真夏のレースの過酷さが問題となった.大都市開催のマラソン大会は近年一般にも人気が高いが,コースや季節によって熱環境に大きな差が出る.2020東京オリンピックにおいても東京コースはビルが多く,日当たりする箇所が2カ所だったのに対し,札幌コースは日陰が少なく熱負荷があまり軽減されなかった可能性がある.潜在有効発汗量PESを用いて8月下旬から11月上旬までの期間,気象環境が異なる4つのコースで実際にランニングを行い,ランナーに対する周辺からの熱負荷と熱中症リスクの程度について検討を行った.実験の日時やコースによってWBGTとM-lEsにはそれぞれ,11℃~32℃,187Wm-2~-188 Wm-2の差が見られた.すなわち,11月の屋外運動では体表面積あたり200Wm-2近くの発汗に頼らない放熱が得られるが,8月下旬や9月上旬では同じ程度の熱負荷を逆に周辺環境から受けることが示唆された.日陰の少ない河川敷などでは,体表面吸収放射フラックスが1000Wm-2を超えるような場所が見られ,こうした場所では放射と顕熱交換による熱負荷が大きくなっていた.厳しい暑熱環境においては,最大運動強度を規定する最大酸素消費量も低下するが,PES計算に与える感度はそれほど大きくなかった.暑熱環境下における熱負荷に大きく影響する代謝熱産生速度を,屋外環境において測定可能なウェアラブル測定器を選定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
代謝熱産生速度は暑熱環境下における人体の熱負荷に大きく影響する.屋外環境でエクササイズを行いながらこれを測定可能なウェアラブル測定器の準備に手間取った.世界初となるウェアラブル呼気ガス分析装置が発売されたので,これを選定し熱負荷暴露実験の遅れを取り戻す予定である.
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今後の研究の推進方策 |
① ウェアラブルタイプの小型センサによる気象・温熱生理反応要素の測定方法の提案;ウェアラブルタイプのセンサで測定する気象・温熱生理反応の要素について,データ品質を担保できる測定方法と装置を開発する.呼吸商の直接観測によるPESモデルおよび人体熱収支解析を実施する. ② 人体熱収支モデルに基づく観測フレームの提案;ウェアラブルのセンサより得られたデータに基づいた,PESモデルにおける各熱収支項の推定を行う.加えて5接点SET*モデルによる潜在有効発汗量の推定を行い結果を比較する. ③ 屋外フィールド競技におけるウェアラブル端末を活用した人体熱負荷曝露実験の試行;実験機器の準備は今年度はじめに完了させる予定である.習慣的に運動を行う被験者を使った人体の熱負荷曝露実験に適用して,得られるデータの品質を確認する.例えばランニングはコース,野球はポジションによって,それぞれ熱負荷が異なるため,季節を跨いだ観測を行うことにより,被験者の温熱生理反応要素をデータ化する.
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