研究課題/領域番号 |
22K11569
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
小柳 磨毅 大阪電気通信大学, 医療健康科学部, 教授 (20269848)
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研究分担者 |
向井 公一 四條畷学園大学, リハビリテーション学部, 准教授 (00353011)
木村 佳記 大阪電気通信大学, 医療健康科学部, 教授 (00571829)
田中 則子 大阪電気通信大学, 医療健康科学部, 教授 (20290380)
三谷 保弘 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 教授 (50567071)
境 隆弘 大阪保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (60353009)
松尾 高行 大阪行岡医療大学, 医療学部, 教授 (80643593)
成 俊弼 大阪電気通信大学, 医療健康科学部, 講師 (80843185)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 前十字靭帯不全膝 / 装具 / エラストマー素材 / 力学モデル / 生体評価 |
研究開始時の研究の概要 |
前十字靭帯(ACL)不全膝の不安定性に対し,伸張性と弾性を有する軟性のエラストマー素材から成る弾性装具,(EKB)を開発した.EKBの力学的な制動力や,ACL不全膝症例に対する制動効果, スポーツパフォーマンスへの影響は不明である.そこで本研究は,開発したEKBについて,臨床研究として, ACL不全膝症例に対する膝関節の制動と姿勢制御の効果検証, EKB装着下でのスポーツ活動中の自覚/他覚評価を調査することとした.こうしたEKBの力学評価とACL不全膝症例に対する有効性を実証する生体評価を組み合せた社会実装により,これまでに類をみない新たな弾性装具であるEKBを進化させ,実用化する.
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研究実績の概要 |
1) 膝モデル用いて計測した弾性膝装具(Elastomeric Knee Brace)の制動効果を,国際学会(7th IOC World Conference on Prevention of Injury and Illness in Sport)で発表した. 【要旨】弾性素材に初期張力を加え,ACLの走行に近似させたストラップにより,制動力を高める弾性装具を考案した.装具の制動力を下腿前方引き出しと内旋の膝モデルを用いて計測し,既存の装具と比較した.弾性装具の制動力は,既存の装具と比較して全ての変位で高く,反復後も安定した制動力を維持した.弾性装具に用いた素材の弾性と負荷した初期張力とともに, ACLの解剖学的な傾斜角度に近似させた2重のストラップと螺旋構造が,変位初期からの前方引き出しと内旋に対する制動力とその維持に作用したと考えられた.
2)生体計測の基礎となる実験結果を論文化し、国際誌(Clinical biomechanics 2024.106213)に投稿し,掲載された. 【要旨】膝関節の前方剪断力を抑制するため考案したLeaf spring exercise (LSE)は,腹臥位の膝軽度屈曲位で大腿後面を固定し,下腿前面の近位を支点として大腿四頭筋の等尺性収縮を行わせる. LSEの再建ACLに対する安全性を検証するため,片側ACL不全膝患者11名を対象に両側下肢にLSEを施行させ,超音波診断装置を用いて大腿骨内外側顆部の最後点と脛骨プラトー後縁間の距離(FTSO)を,筋出力計測器を用いて最大膝伸展トルク(PT)を計測した.その結果,弛緩時とLSE時のFTSOとPTは, 損傷側と健常側の間に有意差はなかった.下腿近位を支点とし, 膝伸展域で大腿四頭筋を最大収縮させるLSEは, ACL不全下においても脛骨の前方転位を来さず, 大腿四頭筋出力の低下を生じなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膝モデル実験は終了して結果が査読つきの論文として掲載された(臨床バイオメカニクス, Vol. 44 2023). さらに,これまでの研究成果を国際学会(7th IOC World Conference on Prevention of Injury and Illness in Sport)で報告した.改めて研究成果の考察を深めて国際誌に向けて論文化し,投稿を準備している。 次の段階の臨床評価も方法を確立して論文化して投稿(Clinical biomechanics 2024.106213)し,複数の協力臨床施設で 装具を着用した生体計測に取り組んでおり,その成果を本年度中に学会報告する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
弾性素材から成る弾性装具,(EKB)を開発した. これまでEKBの力学的な制動力は,既存の硬性素材から成る機能的膝装具(FKB)や軟性装具と比較し,生体膝を模倣したモデル膝の前方引き出しや内旋の変位負荷に対して,変位初期から高い制動力を発揮することを確認した.今後,生体におけるEKBの臨床効果を[1],[2]により明らかにする. [1]ACL不全膝症例に対する制動効果①作製した装置(下腿の遠位部を支持して回転)を用い,腹臥位で大腿四頭筋を最大収縮させた際の,脛骨の前方引き出し量に対する制度効果を,超音波診断装置を用いて検証している.②姿勢制御の評価:膝不安定性を反映する, 荷重下の機能的不安定性評価として,下腿の前傾を抑制する下腿支持装置を用いた体幹後傾テストにより,ACL不全膝の姿勢制御能力を定量的に評価している. [2]スポーツパフォーマンスへの影響を調査する.①EKBを装着したスポーツ活動中の不安感や膝くずれなどの自覚/他覚評価と,再損傷や二次損傷の発生率を整形外科医師の診察(MRI所見)とアンケートに基づき,前向きに調査している.
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