研究課題/領域番号 |
22K11598
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
松尾 慶太 福岡工業大学, 情報工学部, 教授 (50780219)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 車いすテニス / 全方位移動型車いす / 競技の安全確保 / マシンテニス / 電動車いすテニス / 電動車いすバドミントン |
研究開始時の研究の概要 |
近年車いすテニスは、世界で広く認知されており、競技者人口も増加しその技術向上を促す様々な大会が開催されている。車いすを素早く正確にコントロールするチェアワークが要求されるスポーツであり、高度な技術や強靭な体力が要求される。しかし、腕力のない人が車いすを動かし、球を打つという動作は難しい。本研究では、車いすテニスを促進するため入門しやすい環境が必要と考え、電動で全方位に移動できる電動車いすを利用したマシンテニスを提案する。また、競技中の安全を確保するための研究を行う。
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研究実績の概要 |
近年、オリンピック・パラリンピックをはじめ様々な国際大会において、国民のスポーツに対する関心は高い。また、関連のスポーツ用具の進化には著しいもの がみられ、開発で得られた先端的な技術は一般の製品にも活用されている。これらの進化により、これまで競技することが困難であった障がい者スポーツ種目が、容易に競技できるようになってきている。我々は、これまでに福祉用車いすの研究をしてきており、その知見を活かして全方位に並進できる独創的な車いすを実装した。また、バドミントンやテニス競技において、全方位に並進(同じ方位を向いたままの移動)できる車いすを使用することで誰もが容易にプレーできることを確認した。また、GPS機能が使用できない室内コートなどに対応するための超音波位置検出システムについて研究を進めている。これらの検出周期や精 度の追究を行っており、現在数センチ程度の誤差での検出を可能とした。これらの蓄積した知識を融合させて研究を今後も継続していきたいと考えている。 令和4年度は実験用に2台のマシンを製作した。マシンは50Wのブラシレスモータを3個搭載してオムニホイール(前後左右に回転可能なタイヤ)をコンピュータで 制御できるようにした。 令和5年度は、マシンテニスの競技中における安全を確保する取り組みとして超音波による室内位置検出システム(室内GPS)とマシンに搭載した通信機能を用いて安全確保を行う取り組みを行った。マシンはBluetoothとTCP/IPによる通信に対応できるようになっており、Bluetoothは主に操作用インターフェイスと接続し、マシンへの制御信号送出やマシンからの状態情報取得はTCP/IP通信を用いて制御できるようにした。また、ダブルス競技におけるチーム同士の衝突を回避するシステムを提案し評価を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに実験用に2台のマシンを製作した。マシンは50Wのブラシレスモータを3個搭載してオムニホイール(前後左右に回転可能なタイヤ)をコンピュータで 制御できるようにした。提案するマシンについて設計の段階で3輪か4輪どちらかを選択する必要があった。4輪は、競技中のマシンの安定感を高めることができるが、タイヤ周りのサスペンションが必要となりメンテナンスや製作に高いコストが発生するため、3輪のマシンを実装した。この3輪マシンは3点で地面と接するためサスペンションの必要がなく容易にマシンを安定的にコントロールできる。 実装したマシンをコントロールするために、室内GPSシステムによる位置検出が可能なシステムとマシン同士の衝突回避を行うための制御プログラムを実装した。また、マシンの状況を把握するための情報(マシンの位置、マシンとコントローラ間の通信信号強度、マシンを制御しているコンピュータのメモリ使用量やCPU温度、等々)をコントローラ側で取得できるようにしている。さらに、あらかじめ指定した位置を通過できるようにコントロールできるプログラムモードを実装することで、位置検出機能の性能評価ができるようにしている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、マシンに通信機能を実装しTCP/IPおよびBluetoothでコントロールデバイスと通信させている。また、室内GPSシステムを使い、車いすのダブルス競技時の衝突防止やマシンと壁やネット支柱への衝突防止についてなどの安全確保についても追究する。特に、衝突回避に関する 機能については、自動車などでは、数メートル手前にある障害物を検知し停止または回避する手法を採用している。しかし、申請者が提案するマシンテニスでは、利用するマシンは全方位(360゜)に移動可能であり動きを予測しにくい。また、競技の性質上数メートル前からの停止などの制御行動では競技の面白さを損なう。このため、衝突直前からの衝突回避を次のような技術で実現したいと考えている。M2M (Machine to Machin) 通信を可能にするP2P通信技術、マシン位置の高精度検出とリアルタイム制御等。これらを実装し、その有効性を評価するため学内や地域の団体と連携する必要がある。今後は、地域のスポーツ競技組織とつながることを目標にし、実環境での評価ができるように活動を進めていきたいと考えている。
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