研究課題/領域番号 |
22K11623
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
永澤 健 畿央大学, 健康科学部, 教授 (80390566)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ストレッチング / 血管機能 / 動脈硬化 / 動脈伸展性 / 糖尿病予防 / 運動療法 / 運動処方 / 血糖値管理 / 糖尿病 / 動脈硬化症 / 糖代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
ストレッチングは筋や関節を伸長させる運動のことで,ストレッチ運動や柔軟体操とも呼ばれる.このストレッチングを用いた運動療法の実施が糖代謝と血管機能を改善するかどうかを調べ,新たな糖尿病と動脈硬化症の予防・治療戦略を開発することが本研究の目的である.これにより低負荷で安全な運動療法としてのストレッチングの有効性を確立していく.本研究では,ストレッチングによる繰り返しの筋への伸長刺激が「筋の糖取込みを誘発し血糖コントロールを改善する」「血管拡張機能を改善して動脈伸展性を改善する」という仮説を実験によって検証する.
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研究実績の概要 |
ストレッチングが動脈伸展性に及ぼす急性効果について検討した.本年度の研究では,心臓足首血管指数(CAVI: cardio-ankle vascular index)を動脈伸展性の指標とし,特に体幹の種目を中心とした動的ストレッチングプログラムを採用した.健常成人女性8名(21~22歳)を対象とした.各被験者に対して,ストレッチングを実施する運動条件と座位安静を保持する安静条件の2条件を,順序無作為に2日以上の間隔を空けて実施した.各実験は食後2時間以上経過してから実施し,実験室に到着後,30分間安静を保持させて安静時のCAVIの測定を開始した.ストレッチング条件では,30分間の動的ストレッチング実施後,5分,10分,20分,30分目にCAVIを測定した.動的ストレッチングは体幹部を主に伸長させる10種目を採用し,これを3セット,計30分間実施した.各ストレッチングは痛みが生じる強度まで伸長するように指示した.動的ストレッチングの実施前後に長座体前屈を行い,柔軟性の変化を評価した.その結果,CAVIは,ストレッチング終了5分後に低下を示し,安静条件の同じ時間帯のCAVIと比較して有意に低値を示した(p<0.05).一方,ストレッチング終了10分から30分後のCAVIは安静条件と比較して有意な差を認めなかった.柔軟性は,ストレッチング後に有意な向上を示した(p<0.05).以上のことから,本研究で実施した動的ストレッチングは,動脈伸展性指標CAVIを改善させる急性の作用があることが示唆された.今後,血管機能の改善に効果的なストレッチングプログラムについて,さらに検討する必要があるものと考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の実験計画通り,動脈硬化症の予防・治療に寄与できるストレッチングの処方内容を解明することを目標として,特に体幹の種目を中心とした動的ストレッチングプログラムに着目し,ストレッチングが動脈弾性指標に及ぼす急性効果について検討できた.このように研究は,おおむね順調に進行しているものと考える.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としてストレッチングの伸長強度や伸長時間にも着目し,血管機能に与えるストレッチングの影響について検討を進める.今後も血管機能の向上に有効なストレッチングの処方内容の解明に取り組むとともに,ストレッチングがもたらす健康増進効果を検証する.次年度に計画している実験を遂行することで,ストレッチングを用いた新たな糖尿病と動脈硬化症の予防・治療戦略の開発を進めていく.
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