研究課題/領域番号 |
22K11626
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
柚木 孝敬 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (00352500)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 身体運動 / 呼吸 |
研究開始時の研究の概要 |
脳幹の中枢化学受容器は、CO2センサーとして、呼吸制御に重要な役割を果たしている。本研究では、"中枢化学受容器が呼吸制御と同時に体肢筋の運動制御も担っている"、という仮説の検証を目的とする。研究代表者は先行研究において、中枢化学受容器のCO2 刺激によって下腿筋の神経活動が脊髄レベルで賦活されることを示唆したが、ヒトの運動行動への影響については不明である。したがって本研究では、動脈血CO2 分圧の変動が運動時の体肢筋活動(行動レベル)に与える影響を解析することで、中枢化学受容器と運動制御の関連を明らかにする。
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研究実績の概要 |
当該年度は前年度までに蓄積された実験データを分析し、1件の学会発表と1件の論文投稿を行った。前者は、随意的な等尺性足関節底屈時において下腿三頭筋に誘発したSSMA(電気刺激後の足関節底屈力増大と筋電図活動増大)に高CO2曝露が及ぼす影響を検討したものである。被験者は健常男性17名、呼吸条件は通常呼吸、4%CO2ガス吸入、7%CO2ガス吸入の3条件とした。実験の結果、3条件のSSMAに有意差は認められなかったことから、高CO2曝露の影響は随意的な筋収縮時に誘発したSSMAに反映されないことが示唆された。後者(論文投稿)は、高CO2曝露が随意的な等尺性膝伸展時における力変動に及ぼす影響を検討したものである。被験者は健常男性10名であった。各被験者は、3つの呼吸条件(正常CO2、高CO2、低CO2)において各4回の等尺性膝伸展を行なった。呼吸数と一回換気量は3条件間で一致させた。各試行において、膝伸展中の力の変動係数(Fcv)を評価した。4回の試行分を平均すると、Fcvは高CO2条件に比べて低CO2条件において有意に低い値であったが、高CO2条件内では、動脈血CO2分圧(PaCO2)の近似値である終末呼気CO2分圧(PETCO2)の上昇とFcvの上昇の間に有意な正の相関が認められた。これらの結果から、動脈血CO2分圧の変化が呼吸パターン変数とは独立的に下肢筋による力出力特性に影響を及ぼすことが示唆された。 前年度は、自転車運動(ペダリング)におけるケイデンスや運動持続時間にPETCO2の変化が及ぼす影響を検討したが、少なくとも高強度運動において生じるPETCO2の低下がそれらの運動変量に有意な影響を及ぼすことは確認できなかった。当該年度は低強度運動におけるケイデンスや筋活動への影響を検討する実験に着手し現在進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述した投稿論文の査読の過程で、実験のデザインや方法に関わる課題を指摘された。それを受け、次に行う予定であった実験の再構想と予備実験の実施を余儀なくされ、本実験への移行が遅れた。現在、残り2つの実験を予定しており、一つは進行中である。もう一つも令和6年度中には完了できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
PaCO2 の変動が静的運動時(等尺性収縮時)の筋力変動に及ぼす影響(実験1)については、大腿筋(膝伸展運動)を対象とした実験は終了した。予定していた下腿筋(足関節底屈運動)と手指筋(人差し指外転運動)を対象とした実験は別々ではなく一つにまとめたプロトコルで行う予定である。 PaCO2 の変動が動的運動時(自転車運動時)のペダル回転数に及ぼす影響(実験2)については、高強度運動実験は終了し、現在、低強度運動実験を計画通りに進めている。
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