研究課題/領域番号 |
22K11636
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
坂井 伸之 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (00267402)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 野球 / 投球 / 打撃 / 力学 / 物理 |
研究開始時の研究の概要 |
野球は「才能」による個人差が大きく、できない子供に指導してもなかなか上達しない。得意不得意に関わらず、肩や肘の故障が多いことも、野球の深刻な問題である。この2つの課題を解決するために、本研究では、力学的に合理的な投球動作・打撃動作のメカニズムを明らかにし、それに基づいた指導法を開発する。その成果をまとめ、部活動等の指導者のための指導書を作成することが具体的な目標である。 研究の特徴は、従来のバイオメカニクス研究、コーチング研究の方法に加え、物理法則から演繹的に結果を導く理論物理学的手法を採用することである。構築した理論を検証し、指導法を開発するために、高校・大学の野球部と連携する。
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研究実績の概要 |
野球の投球動作と打撃動作について、①理論構築、②理論の検証実験、③指導法の考案と実証 の3段階で、フィードバックを繰り返しながら研究を進めた。 ①の理論構築のうち、投球理論は前年度出版した著書で大枠ができていたが、踏み出し脚の運動について分析を進め理解を深めることができた。一方、打撃理論については今年度取り組み始め、大枠を組み立てることができた。例えば、従来の理論や指導では「軸脚は後ろ」と言われていたが、それは力学的に誤りで、「軸脚は前脚」でなければならないことを示した。 ②と③については、高校野球・社会人野球・独立リーグプロ野球の数チームと連携した。具体的には、対面セミナー・実技指導4回、オンラインセミナー3回を実施したり、選手の動画の分析、指導を行ったりし、理論の妥当性を検証した。指導法として、投球・打撃のポイントをそれぞれ6つの項目にまとめた。各6つの項目とは万能ではないが、網羅的に多数の項目を並べても指導者が消化しきれないことを考慮し、必要最小限に厳選したものである。 この指導法により、連携した野球チームや個人の成績を向上させることが確認された。ある高校野球チームは、夏の県大会ベスト4になった。ある社会人野球チームの主力投手の球速が145km/hから150km/hにアップした。ある独立リーグプロ野球チームは、動作分析・助言後に8連勝した。 研究成果は、日本物理学会2022年秋季大会、同学会2023年春季大会、日本コーチング学会第34回大会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は、本研究で得られる理論と指導法が、指導を受けて練習してもなかなか上達しない初級者・中級者の技術向上の助けになることを想定していた。しかし、動作分析に基づく指導をしてみると、県大会優勝候補の高校野球チーム、社会人野球主力投手、独立リーグプロ野球チームの技術向上に役立てることができた。1年目からこのような成果が得られたことは、当初の計画以上の進展である。 日本物理学会からは物理教育の観点で評価され、同会2023年春季大会でチュートリアル講演を依頼されると共に、「大学の物理教育」の論文執筆を依頼された。
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今後の研究の推進方策 |
投球・打撃動作の力学的メカニズムは解明され、それに基づく指導法も概ね構築された。しかし、まだ気付いていないメカニズムやより有効な指導法がある可能性がある。したがって、高校野球・社会人野球・独立リーグプロ野球の数チームと連携を継続し、理論の精密化と指導法の改善に引き続き取り組む。 また、論文や著書の形で指導法を発表したい。
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